コナミスポーツマスターインストラクター大石鉄也のサッカーコラム SOCCER COLUMN by Tetsuya Oishi

高校時代の恩師(井田勝通監督)の印象に残った一言

vol.92 | 2020/11

日頃のスクール運営において、新型コロナウイルス感染拡大防止の取り組みに、ご理解とご協力をいただきありがとうございます。
11月に入り気温もだいぶ下がり過ごしやすい季節になりました。
風邪をひきやすい季節になってきますので、手洗い、うがいをこまめに行い、
体調管理には十分に注意しましょう。

今月は、私の高校時代の恩師である井田勝通氏(元静岡学園監督)が、小学生を対象としたサッカークリニックを開催した時のお言葉で、とても印象に残ったものがありましたので、ご紹介させていただきます。


■ 印象に残った言葉
・ 『勝利は一瞬、成長するのは一生だ』
この一言には、育成段階の子どもたちに関わるすべてに向けて、非常に深い意味が込められていると私は感じました。
ほとんどの指導者・子ども・保護者は、勝利という目の前の結果だけを求めることが多く、
勝ち負けの結果だけですべてを評価してしまいがちです。そうなってしまうと・・・

指導者は、子どもたち個人の成長よりもチームの勝利に重点をおき、チーム戦術・システム(動き方)練習を中心に行うため、チームとしては強化されますが、個々の技術・思考力は身に付きにくいといった練習環境になりがちです。

子どもは、コーチの指示通りに失敗しないよう慎重にプレーしようとして、自分のアイデアで思い切りチャレンジすることができなく、コーチのロボット状態になってしまいがちです。自ら考えてプレーすることができなくなりプレーの幅が狭い選手となってしまいます。

保護者は、勝利という結果だけが先行し、応援に熱が入りすぎ、子どものチャレンジしている勇気などに目が届かずに、試合中や試合後に子どもに対して過剰なアドバイスをしてしまい、子どもに余計なプレッシャーをかけてしまうことになりがちです。子どもは、ストレスを感じ本来のサッカーの楽しさが薄れてしまいます。

これでは子どもたちの個人技術やアイデアあふれるプレーへの発想(思考力)などの成長にはつながらず、個々を伸ばす大切な機会を逃してしまうことになってしまいます。

■ 成長過程においての試合の意味
子どもたちの成長過程において目の前の勝利よりも、もっと大切なものがあると私は思っています。子どもたちが成長していくためには、試合で日々練習したことをどれだけ試せるかが重要になります。
そうは言っても、いざ試合となると、やはり、誰もみな勝ち負けが先行してしまいがちです。
勝ち負けに拘ることは非常に大切だと思っており、「勝つ喜びを実感する」、「勝つことで自信になる」、「負ける悔しさを実感する」、「負けることでさらに努力しようと頑張れる」
など、勝ち負けの結果から学ぶことはたくさんあると思っています。

しかし、勝ち負けだけに拘りすぎてしまうと、子どもたちは、チャレンジ精神が薄れ、同時に失敗を恐れ、プレーが消極的になってしまいます。
加えて、保護者もついつい応援に力が入りすぎてしまい、かえって子どもに対して大きなプレッシャーになってしまうこともあります。

試合中の失敗は何回してもOKです。チャレンジして初めて今の自分に足りないことが分かり、その後の練習に結びつきます。また、成功したチャレンジは本人の自信につながります。
ところが、勝ち負けの結果に縛られてしまうと、子どもたちは失敗をしないようにプレーするようになりチャレンジ精神を失ってしまうことになります。


■ まとめ
長いスパンで考えれば子どもたちの目の前の試合における勝ち負けは気にしなくてもいいと思っています。
とにかく日々努力し、失敗を恐れずにチャレンジし続けることが成長につながります。
どんなメンバーでも、どんなチームでも、どんな対戦相手でも、しっかりと自分のプレーができるように練習していきましょう。自分が他の誰よりも1番チャレンジできた、1番ドリブルでかわすことができた、などプレー内容を試合後に振り返えることが勝ち負けの結果よりも大切だと思っています。
保護者の方々は、試合や練習の応援に行く際は、お子さまがどんなプレーをしたのか、またはしようとしたのかをしっかりと見てあげてください。仮に試合で負けてしまっても、積極的にドリブルしようとチャレンジしたり、周囲をしっかりと見てパスを出したり、失敗を恐れずにプレーし、チャレンジしている姿をしっかりと褒めてあげてほしいと思います。

指導者・子ども・保護者とそれぞれ立場は違いますが、長い目で日々努力とチャレンジをしていくことが育成段階では大切になりますので、子どもが努力できる・チャレンジできる環境を指導者・保護者は作り出し長い目で見守ってほしいと思います。

プロフィール

大石 鉄也

1979年11月26日生まれ。静岡学園高等学校から川崎フロンターレ入団。(在籍8年)川崎フロンターレ在籍時代に1年間、ブラジルグレミオに留学。2004年に現役を引退。現在は、子どもたちへの指導を行いつつサッカースクールカリキュラム開発及び指導者の育成にあたる。