コナミスポーツマスターインストラクター大石鉄也のサッカーコラム SOCCER COLUMN by Tetsuya Oishi

ブラジル留学体験談4

vol.7 | 2013/10

だいぶ涼しくなり練習に集中できる季節になりましたね。今回は私がブラジル留学時代に所属していた、グレミオというクラブでの体験をお話します。グレミオはブラジルではサンパウロFCなどの名門に並ぶビッグクラブで、トヨタカップに出場した戦歴があります。最初は緊張と不安がありましたが、こんな貴重な体験はめったにないと、私は毎日必死にトレーニングに励みました。

ブラジル人選手と聞けば、皆さんは個人技術に優れたテクニシャンをイメージするのではないでしょうか。私も当時はそうでしたが、一緒に練習してみるとテクニックに優れた選手はチームに5人くらいしかいません。もちろん他の選手が全く下手かと言えばそんなことはないですが、確かに全員がテレビで見ていたようなブラジル代表レベルの技術のはずはないですよね(笑)。

とはいえ、やはり個々のレベルは日本人選手をはるかに上回っていて、見習うべき点はたくさんありました。とにかくサッカーに対してすごく真面目で、1つ1つのトレーニングに全力で取り組みます。子供の頃から厳しい環境で耐え抜いてきた経験が身についているからでしょう。最も感心したのは、厳しく辛い練習中も全員が笑顔で楽しそうにプレーしていたこと。互いに声を掛け合いボールと一緒にグランドを駆け回る姿は、本当に素晴らしい光景でした。

もう1つ勉強になった点は、練習で自分のアイディアを試してみるということ。ブラジル人選手のイマジネーションあふれる見事なプレーは、失敗を恐れずに色々とチャレンジした結果なのです。日本人選手は指導者の指示通りにしかプレーできない傾向があります。監督の指示はすごく大事ですが、試合中は自分で判断しなければならないケースが非常に多く、指導者の意見を聞きつつも自分のアイディアに思い切ってトライすることが、日本人には必要だと感じました。小学生年代では「失敗したら恥ずかしい」、「監督に怒られたらどうしよう」などと考えてしまい、せっかく良いアイディアがあっても挑戦しない子供が多いです。しかし、日頃の練習でチャレンジして、試合で使えるまで何回も練習し続けることが大切なのです。

サッカーに正解、不正解はありません。だからこそ色々なテクニックを磨いて自分でトライする楽しみがあります。私もグレミオでのトレーニング中、失敗を恐れずに自分が持っている技術やアイディアに積極的に挑戦しました。最初から成功することはほとんどありませんでしたが、失敗しながら何で上手くいかなかったのかを考え、繰り返しチャレンジすることによって成功し、その技術が身についていきました。失敗なしで上達はありえません。今の時期だからこそ多くの失敗を経験して良いですし、自分のアイディアを積極的に練習や試合で試していくことが大切だと思います。

プロフィール

大石 鉄也

1979年11月26日生まれ。静岡学園高等学校から川崎フロンターレ入団。(在籍8年)川崎フロンターレ在籍時代に1年間、ブラジルグレミオに留学。2004年に現役を引退。現在は、子どもたちへの指導を行いつつサッカースクールカリキュラム開発及び指導者の育成にあたる。