松花賢和 (「メタルギア ソリッド3 スネークイーター」 ラインプロデューサー)
小島組にはPCエンジン版「スナッチャー」から参加。「メタルギアソリッド」「メタルギアソリッド2」では助監督を務める。PS版ポリスノーツでは開発補佐として参画した。 |
アドベンチャーゲームを効率よく開発する手法として、「スクリプト言語」といったものを使う。
フラグ分岐を管理していく手法として、今では少しでもゲーム開発の知識を有する人たちにとっては常識であるこの方法を、コナミ社内で確立したのは小島監督率いる「スナッチャー」制作チーム(PC88版)である。
と偉そうに解説しつつもその当時私は未だ入社しておらず、後にその話を聴くことになるのだが、とにかくPC88版「スナッチャー」で積まれたノウハウは、その後、今回のタイトル「ポリスノーツ」へと引き継がれて、進化していく。
特に「ポリスノーツ」では複雑なストーリー構成を支えるフラグ管理や繰り返し処理を実現するため、このスクリプト言語の見直しに重点が置かれていた。当時比較的話題になっていたyacc(パーサジェネレータ:今でも標準的に使われつづけているコンパイラ・コンパイラの一種)をベースに、記述体系の構造化や、変数管理などを中心に改善され、それはPCエンジン版「スナッチャー」などへも利用された。
また最終的には、そうした”スクリプト”という概念は、さらに形を変えながら「メタルギアソリッド」のGCL言語(イベントドリブン型のオリジナルのスクリプト言語)となり、さらに現在開発中の「メタルギア ソリッド3 スネークイーター」でも、ますます重要な手段となっている。
「ポリスノーツ」はそうした後の小島監督作品のクオリティを支える「スクリプト言語」技術確立の記念碑的な作品であるという側面も持つ。
作中で同じ人物に、同じ事を何度も聞いて欲しい。次々と違う台詞が出てくる”奥深さ”を味わえるはずだ。
そうした技術開発の背景にも思いを馳せてもらえれば、よりこの作品を楽しんでもらえるだろう。 |