Z.O.Eシリーズの物語は発端となる2167年のダイモス事件よりも遙か以前から始まっている。
未知なるフロンティアへの進出と辺境への移民が表裏一体の宇宙開発史が背景にあり、その過程で成立した社会構造が、やがてオービタルフレーム開発をめぐるバフラム軍と連合宇宙軍との争いを生んだ。この世界が憎しみで包まれるまでにエスカレートしたその理由が、宇宙に前進しなければならない人類の歩みに起因するなら、なんという皮肉だろうか。
2014 |
・地球の人口/環境/資源問題がピークに達する
・国際プロジェクト"軌道エレベータ構想"発表
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2020 |
・月面基地第1号完成を機に、宇宙開発熱再燃 |
2022 |
・L1マスキャッチャー群完成
・月面マスドライバー稼動開始 |
2027 |
・アンカー衛星の軌道投入に成功
・軌道エレベータ建設スタート |
2034 |
・国際プロジェクト"火星植民地化構想"発表 |
2040 |
・無人探査機が木星の衛星カリストに謎の平地を発見 |
2045 |
・軌道エレベータ完成。本格的宇宙時代へ
・第一世代LEV、NUTにより宇宙開発に導入
・月面資源採掘施設急増
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2048 |
・L4/L5にスペースコロニー群建設開始 |
2052 |
・火星有人基地設置
・第1次テラフォーミングスタート
・全世界で核融合発電が主力化
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2063 |
・国連、化石燃料の枯渇を宣言
・核融合燃料原として木星圏開発が注目を浴び始める
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2067 |
・カリスト有人探査。メタトロン鉱脈発見
・宇宙特需時代へ
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2068 |
・L4/L5コロニー群への移民開始
・宇宙作業機としてLEVが急速に発展 |
2073 |
・火星の衛星フォボスとダイモスに恒久拠点建設開始 |
2081 |
・メタトロン応用による電子技術革命 |
2093 |
・メタトロンの空間圧縮効果の発見 |
2104 |
・ウーレンベックカタパルト実用化 |
2111 |
・木星の衛星エウロパL5に恒久拠点アンティリアの建設を開始 |
2130 |
・火星第1次テラフォーミング完了による本格移民開始
・月面開発は徐々に下火に
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2135 |
・火星植民地のひとつで細菌汚染発生。地球圏検疫ラインを強化 |
2145 |
・ウーレンベックカタパルト、火星ダイモス基地に設置。宇宙交通革命
・火星移民ラッシュ。カウンティ制度導入
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2157 |
・カンドール事件発生
・地球圏とエンダーとの確執が深まる |
2158 |
・火星バシリアカウンティ内に武装結社バフラム結成
・NUT社、秘密裏にオービタルフレームの基礎技術を確立 |
2167 |
・ダイモス事件 |
2172 |
・国連軍、アンティリアを武装占拠
・バフラム、アンティリア襲撃
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2173 |
・ネレイダムを中心とした反地球勢力による地球圏襲撃 |
2174 |
・バフラム、火星を武力制圧 |
問題は宇宙進出の過程で地球から遠く離れれば離れるほど移民が低い階級として差別されることにあった。「エンダー=辺境者」と呼ばれる人々のなかに形成された、被差別意識を持ち現状を不服とする層が活動を始める。
その反乱の芽は、本星である地球の政財界にも管理しきれない火星の一部、バシリアカウンティに生まれ、やがて強大な組織となったバフラム軍は地球の既得権益層を代表する連合宇宙軍と太陽系の覇権をめぐり争うに到った。その戦いは当初の目的から徐々に逸脱し、傍観する善良な民や中立の存在を巻き込みながら、遠く木星圏にまで拡大している。
- Phobos (フォボス)
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火星衛星。ダイモスステーションがUNSF管理のもと建設、
運営されていたのに対し、NUT他火星民間企業出資に
よる宇宙港として開発が行われている。2173年現在、
UNSF艦隊が駐留、バフラム軍との睨み合いが続いている。
- Antilia (アンティリア)
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資源採掘支援基地として木星の衛星エウロパのL5に建設されたトーラス型コロニー。民間人の生存域としては最遠の地であり、ヘリウム3やメタトロン鉱物資源の採掘、輸送作業のために約10万人が生活している。2167年のダイモス事件以後、火星からNUT(ネレイダム・ユニバーサル・テクノロジ社)の研究開発部が移設され、オービタルフレームの研究が進められていた。2172年、UNSF(連合宇宙軍)が武装占拠。
- UNSF - United Nations Space Force - (地球)
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宇宙開発の基礎となる鉱石メタトロンの発見により宇宙交通改革が成し遂げられ、人類は居住範囲を火星圏、木星圏にまで広げた。しかし度重なる火星側との衝突にも関わらず、地球側はあくまでも火星を植民地として捉え、各国がそれぞれのカウンティ(州)の行政を監督。国連常任理事国が中心となって結成した連合宇宙軍(UNSF:United Nations Space Force)を派遣している。のち、オービタルフレーム技術の研究を進め、次世代新型LEVを開発。UNSFの火星駐屯部隊に導入を開始する。
- Callisto (カリスト)
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木星衛星。21世紀初頭メタトロンが発見された
地であり、現在はネレイダム・ユニバーサル・
テクノロジ社を中心とした開発公団が採掘基地
を設置、木星圏の水資源確保のための採氷
作業と共にメタトロン鉱石の採掘が行われている。
- Mars (火星)
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16のカウンティ(州)が火星植民地連合(UCM:United Colonies of Mars)を形成。民族意識が希薄で、かつ地球の母国よりも火星への帰属意識が強く、火星独立論を唱える声が大きくなっている。
ことにバシリア州は反地球的であり、独自の軍隊を保有。対地球兵器オービタルフレームの研究開発を行っていた。2173年、地球とUCMの軋轢が高まる中、バフラム軍が火星の統一作戦を開始。火星駐屯のUNSFといくつかの親地球カウンティが抵抗を試みるも、新型オービタルフレームを前に抵抗する術はなく、瞬く間に火星全土がバフラム軍に制圧された。
- Deimos (ダイモス)
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火星衛星。火星の生命線とも言える地球への大
型ウーレンベックカタパルトを備えた宇宙港。現在
はバフラム軍によって占拠、管理が行われている。