「LAUGH DiAMOND」ディレクション講座
コナミデジタルエンタテインメントでもっとも「LAUGH DiAMOND」の調整…つまりディレクションに詳しい「こーじD」が、「LAUGH DiAMOND」での歌唱制作をもっと楽しくするノウハウを公開していきます。
「こんな事をやりたいがどうやったらいい?」「どうしてもこれが上手く行かない!」など、皆さんのお悩みは
「LAUGH DiAMOND」公式X にお気軽にお寄せください。
問い合わせの多いお悩みやノウハウは、どんどんこの講座に追加していきます!
Tips01. バージョンの使い分けについて!
対象:初級~上級者まで全ての方向け
制作方法は似ているが、バージョン1と2でオススメできる曲の方向性があり、使い分けることで理想の仕上がりにしやすいです。
プロジェクトデータも共有できるのでいろいろ入れ替えて試してみましょう。
- バージョン2.x系 … リアルな歌唱を求める方に最適
- バージョン1.x系 … ヴォーカルシンセサイザーのような歌唱を求める方に最適
Tips02. まず最低限気にすべきポイントはここ!
対象:VoiSonaの使い方を最低限わかっている中級者向け
装飾記号の活用
これを歌詞に追加することで平坦に歌う歌い方から多様な歌唱バリエーションを持つことができます。
入力する場所に決まりはありません。(ファルセットだからといって高い音につけないといけない概念はAIにはありません)
好きなところに装飾記号をつけて楽しんでみましょう!
ファルセット(裏声)
高い音のときに裏声で歌唱バリエーションを出したい時に使います。
話者の設定されている限界音程を超えるようなフレーズを歌わなければならない時に使うとより効果的です。
(ひびき、あさひ、ももかで効果が出やすい)
「下降アタック」
フレーズの途中でアタックが強くなるあまりピッチが高いところから落ちるような歌い方、アクセントをより強調したい時に使ったりフレーズバリエーションを出してより人間らしくすることに使用します。
(ひびき、あさひで効果が出やすい)
「跳ね上げ」
「吐き捨て」
伸ばし時に息を吐き切ってしまうような特殊技法です。
主に歌にバリエーションを増やしたり、スローな楽曲において歌いきったときなどに力を発揮します。
音が長いほうが効果が出やすいです。(ひびき、ももかで効果が出やすい)
「ふるえ」
伸ばし時に声が震える表現方法です。音の初動から出てくるので、ビブラートとはまた違ったバリエーションを持ちます。
あさひ限定の特殊奏法です。
フレーズ途中にさり気なく使って機械的に聞こえる部分を和らげたり、伸ばしのビブラート代わりに使ったりできます。(効果はややわかりにくい)
「LAUGH DiAMOND」特殊奏法まとめ
Tips03. ヴォーカルシンセサイザー風に歌わせてみよう
対象:初級~上級者まで全ての方向け
TUNEを「-1.00」にすると逆効果 (ピッチがとても不安定な状態)で楽しむこともできます。 バージョン2.x系の歌唱ライブラリにも同様のことはできますが、「LAUGH DiAMOND」の1.x系ライブラリのほうがより高い効果を発揮します。
1.xと2.xを使い分けて、いろいろなジャンルの楽曲に挑戦してみましょう。
Tips04. ケーススタディ01 "だんだん早くなる/やまだかのん" から見る歌唱調整の基本
対象:歌唱調整が思ったように上手く行かない初心者~中級者向け
歌わせてはみたものの、「思ったように歌ってくれないなぁ」「でもどうしたらいいんだろう?」というお悩みをお持ちの方もきっと多いのではと思いますが、
そんな方に、一曲の調整を通してこーじDがどういう思考で歌唱調整をしているのかを、ケーススタディの形でご紹介します。
最後には、こーじDの楽譜データも公開いたしますので、詳細はそちらも合わせて御覧いただくとよりわかりやすいかもしれません。
フレーズ最後の音に力を入れる
かのんはフレーズ終わりの歌い方にいくつか種類があります。
フレーズ最後の処理はもっとも気を使い重要視したほうが良いところです。かのんはロングビブラートが弱く設定されています。
曲中はフレーズ最後が聴かれることも多く目立ちやすいため、無機質な伸ばしばかりだと、AI歌唱はうまく聞こえないことが多いです。
しかし、気にするだけで人間らしい表現が一気に加速するでしょう!是非試してみてください。
主に高い音からフレーズ最後を締めるようなときは下降アタック「%」を使うと、かのんは違う表現で歌ってくれます。
これで普通に伸ばしただけとは違う別パターンが出来ます。
たとえば赤丸の「る」に特殊記号「%」をいれることで奏法が代わります。
「%」は下降アタックという奏法です。これをフレーズ中に使ってスラーの補助に使おうという技です。
高い音からスラーで歌おうとかのんが理解し、記号を使った一つ前の音もそれに合わせて変わっているのがわかります。
ここがポイントです。装飾を入れることで前の音もAIでチェンジしてくれることが多いです。
かのんは短い音符に対して強めのビブラートを出すと特徴が出やすくなります。これはその一例です。
短い音のフレーズ終わりが少し無機質だったので、ビブラートを加えました。こうすると以下のような違いが出ます。
こちらは意図通りに歌ってくれた例です。・・・「かのんありがとう。」
ショートビブラートありとなしのデモです。この程度の差でも楽曲を重ねると違いはかなり出てきます。
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ショートビブラートなし
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ショートビブラートあり
音の最後ピッチを上げる奏法。かのんは伸ばしが長い音がある時に、跳ね上げを使うとより可愛い歌い方になりますのでたくさん使いたいところです。
オートでも跳ね上げてくれますが、楽曲と一緒に再生すると効果が薄く聞こえにくいので、装飾を使ったほうが効果が大きいです。
音程を使わない表現方法
曲中に「1」「2」「3」「Hi」という音程にならない箇所がありました。シャウトのような音程を持ちにくい声を入れる場合手書きで対応するしかありません。
音符で再現することも可能ですが、このような特殊な声を表現する場合は「PIT」を使うと楽に終わります。
「1」から「3」にかけて貯めて「はい」でパーンとかわいいアタックを作りたかったので(目標を「いっせーのせ!」のような表現と仮定しました)
ここでは私の一例を上げます。
「1」「2」は音長め「3」は音短めにしました。「3」が長すぎると次の「Hi」に向けて流れが弱くなってしまうためです。
「1」は気持ちテンションを上げるために「ALP(アルファ)」を上げました。1から3にかけて音程を下げるようにするためです。
ここで「3」がなぜ少し音程が低くしているのかの理由にもなります。(本当は同じ音程ですが少し落としたほうがテンション管理がしやすいです。)
「Hi」はピッチを高めにし跳ね上げました。上ずっている方が可愛くなるからです。
「Hi」の「は」だけ音量を少し上げました。アタックを強めてテンションを高めるためです。
完成した部分です。エディットありとなしで結構変わります。
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エディットなし
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エディットあり
他にもまだたくさんの調整がありますが、詳しくは楽譜データを以下に載せましたので、
皆さんで解釈していただき、あなたオリジナルの かのんを目指してみてください!!