コナミスポーツマスターインストラクター大石鉄也のサッカーコラム SOCCER COLUMN by Tetsuya Oishi

日本代表 VS ブラジル代表の親善試合を観て

vol.112 | 2022/7


7月に入り蒸し暑い日が続きます。
熱中症や夏バテにならないよう、食事(栄養)、睡眠をしっかりと取り体調管理には十分に注意しましょう。

今月は、先日(6月6日)、行われた日本代表VSブラジル代表の親善試合を観て私が感じたことをお話します。


■ スコア以上に感じたレベルの差

親善試合の結果は、スコア0-1と日本代表の敗戦となりました。
ただ、試合内容としてはスコア以上にレベルの差を感じる試合となりました。この試合では、ポジションに関係なく、選手ひとりひとりの技術レベルや洞察力において、ブラジル代表と日本代表とでは、とても大きな差があったように思います。
まず、技術レベルですが、試合当日は、雨天でピッチ状態は決して良くなかったですが、ブラジル代表の選手達のボールを止める、運ぶ、蹴るといった技術レベルは相当に高いレベルにあったように思います。
試合全般を通して、ほぼミスなく、ボールを失わず、トップスピードでも、狭いスペースでも慌てることなく、正確な技術で自信を持ってプレーをしていたように感じました。
もう一つは、洞察力です。試合の中で、相手選手の特徴や癖をすぐに見抜き、順応できる力は流石だと感じました。それは攻守に渡り、日本代表の選手に対しても、戦術に対してもほぼ完ぺきに対応していたと思います。
これにより、守備において、日本代表はシュート6本のうち枠内へのシュートは0本、攻撃において、ブラジル代表はシュート22本のうち枠内へのシュートは5本という結果となりました。

プレー全般を通して、攻守の結果データからも試合内容においてスコア以上にレベルの差を感じた試合だったと思いました。


■ 日本代表の攻撃について

今回、日本代表のシュート数は6本で、そのうち枠内を捉えたシュートは0本という結果でした。
もちろん、ブラジル代表は、世界ランクにおいてトップクラスです。簡単に攻撃を許してはくれませんし、圧倒的に守備にかける時間が多くなるであろうことは想定内です。
そのうえで、あえてプレーにおける大きな差を感じたのは、日本代表の攻撃において、ボールを触ろう、受けようとする選手が少なすぎたことです。
守備では、ボールを奪いに行くため、必死にボールや相手に寄せていきます。味方へのサポートも素早く、ボールを守り抜くことへの執着心は、ものすごく力強いものがありましたが、攻撃になると、とたんに足が止まってしまいました。なかなかボールを受けたがらず、味方へのサポートも遅れがちになってしまっていたようで、これでは攻撃がスムーズに運ばないのも仕方ないと思いました。一方、ブラジル代表の選手は、攻守に渡り、次から次へと積極的に味方をサポートしボールを奪う、受けるといったプレーをしていたと思いました。
このプレーで感じた差は、選手が自信をもってプレーを出来ているかいないかだと思います。今回に限らず、プレーに自信がある選手は、ボールを積極的に受けます。試合を観ていてわかると思いますが、自信をもって積極的にプレーをしている選手は、多くの場面でボールに触れる機会を得ることが出来ます。もしも、こういった選手が11人もいたらどうでしょう?
どこにでもパスコースがあり、パスもドリブルもたくさんの選択肢ができ、多彩な攻撃ができると思いませんか。それが今回のブラジル代表だったと私は思いました。


■ チャレンジし続ける素晴らしさ

もちろん、日本代表にも、自信をもって果敢なプレーで、積極的にミスを恐れずにボールを受けて何とか打開しようという選手もいます。
でも、サッカーは11人でプレーしチャンスを切り開いていくものです。今回のように、なかなかボールの受け手が少なく、ボールを受けても味方のサポートが遅れて、次のパスコースが見つからないといった局面が多いと、せっかく、積極的にボールを受けた選手がボールを奪われてしまうなど、だんだんと選手の足も止まりがちになってしまうように思いました。
もし、選手がボールを奪われるのが怖い、ミスするのが怖いと思ってプレーしているのであれば、それは自信をもってボールを扱う技術がまだ身に付いていないからです。もちろん、上を目指せば目指すほど、そこに要求される技術もレベルアップします。簡単にできるものではありませんが、ミスを怖がってボールを受けようとしない選手は、そこで成長は止まってしまうと思います。

例え、ミスをしてしまっても、ボールを受ける努力、仕掛ける努力をしている選手は、まだまだこれからレベルアップし活躍していくと思います。もちろん、そのための練習や試合でチャレンジしつづけることで、ミスによって実際に感じたことが自らの課題として新たに工夫するチャンスになります。
ミスを恐れてチャレンジしなければ、自身の本当の課題はわからないままだと思います。


■ まとめ

苦しい状況や、厳しい体勢であっても、しっかりとした技術が身に付いていれば、自信を持ってボールを受けることができます。そうするとプレーの選択肢が自然と増えて、多彩な攻撃に繋がり、観ている人を魅了できます。
そのためには、毎日の技術練習を繰り返し、どんな相手でもどんな場面でも、積極的なプレーが自信をもってできるようになるまで練習を重ねていくことが大切です。
みなさんは、毎日、ボールに触っていますか。少しでも時間をみつけて練習していますか。
最初からうまく完璧にできる選手はいません。サッカーの醍醐味は、ボールに触っている時だと思います。試合では、ボールを触っている時間は触っていない時間に比べて圧倒的に短いですが、その中でもボールをたくさん触りたい、受けたいといった選手がたくさん育ち、いつか、ブラジル代表と互角以上の戦いができるようになってほしいと改めて思いました。


プロフィール

大石 鉄也

1979年11月26日生まれ。静岡学園高等学校から川崎フロンターレ入団。(在籍8年)川崎フロンターレ在籍時代に1年間、ブラジルグレミオに留学。2004年に現役を引退。現在は、子どもたちへの指導を行いつつサッカースクールカリキュラム開発及び指導者の育成にあたる。