コナミスポーツマスターインストラクター大石鉄也のサッカーコラム SOCCER COLUMN by Tetsuya Oishi

リフティング選手権開催の意義

vol.107 | 2022/2


本格的な冬の寒さが続いています。コロナ禍において、一人ひとりの感染予防への取り組みがとても大切です。
日頃から、手洗い、うがいをこまめに行い、マスクをするなど予防対策を万全にして、体調管理には十分に気を付けるようにしましょう。

今月は、2月14日(月)~27日(日)の期間に開催するリフティング選手権についてお話ししたいと思います。
リフティング選手権とは、全国のコナミスポーツクラブ サッカースクールにて統一のルールで20秒間のリフティング回数を測定し、学年ごとに競いランキングを発表している取り組みです。(小学生が対象)


■リフティング選手権を開催する意義

リフティング選手権を開催する目的は、コナミスポーツクラブサッカースクールのコンセプトである『将来に繋がる技術習得』への取り組みとして、改めて、子どもたちにリフティングの大切さを伝え、リフティングに取り組む意識を高めることにあります。
選手権では、リフティングの回数を競い、記録をもとに学年毎にチャンピオンを選出します。
お互いが競い合うことで、楽しみながら取り組む意識を高めることが期待されますが、
真の目的は、人と競い比較することではなく、子ども一人ひとりが、自らの持つ記録を更新できるように取り組むこと、つまり、自分との勝負が重要だと考えています。


■リフティングの大切さ

リフティングに対して、皆さんはどんなイメージをお持ちですか。
大切だと感じる人もいれば、ウォーミングアップでやる程度と考える人もいるでしょう。
また、リフティングそのものは、試合の中であまり使う機会はないため、試合で使わないからリフティング練習は必要ないと思っている方もたくさんいるのではないかと思います。
子どもたちの多くは、リフティングが苦手でリフティング練習が嫌いなのではないかと思います。

しかし、私は、サッカーを続けていくうえで、リフティングは、非常に重要な練習だと考えています。
リフティングは、ただ、ボールを蹴っているだけのように見えますが、ボールの中心を確実にとらえることができなければリフティングを続けることはできません。リフティングが100回続くということは、100回ともボールの中心をとらえているということです。
足を当てる位置が少しでも中心からずれてしまえば、ボールはどこかに飛んで行ってしまいます。

これは、キックやトラップでも同じです。キックは狙いとする方向や距離に対して、正しいボールの位置を蹴らなければいけませんし、トラップではボールの中心をとらえるという点でリフティングと全く同じです。しかも、トラップは自分に向って飛んで来るボールの勢いに対して、力の加減がすごく重要なポイントになります。つまり、リフティングにおけるボールの捕らえ方や力加減はサッカーをする上でとても大事な要素を含んだ練習なのです。

また、リフティングは、得意な足だけで何百回、何千回できればいいというものではありません。体のあらゆる部分をいかに使えるかが大切であり、体のどんな部位でもボールの中心をとらえ、思ったところにもう1度ボールを上げられるようになれば、キックやトラップも自然と上手になっていきます。手以外の全ての部位で、高さの調節なども意識して、リフティング練習をすることでボールフィーリング(ボールを扱う技術)が向上し、試合でも活きてきます。


■まとめ

自分からリフティングの練習に取り組む子どもは少ないと思います。うまくできない、続けてできないとつまらないという気持ちは分かります。
私も小学生のころ、いろいろな部位を使ってのリフティングが苦手でした。
しかし、当時の指導者がリフティングが上手くなるとサッカーも上手くなると言っていましたので、毎日一生懸命に練習しました。
ただボールを蹴り上げるのではなく、ボールをしっかりと見て、リフティングをする部位で地面と平行に面を作り、当てることを意識して練習しました。
リフティングが出来るようになるポイントは、「蹴るのでは無く、当てる」ことです。

人間は生まれてから歩くまで、最初は床を這ったり、立っては転んだり、バランスを一生懸命とろうしながら身体で必死に覚えます。これはリフティングも同じです。最初は全く足でボールを扱えません。失敗しながら、なぜボールが飛んで行ってしまうのかなど色んなことを考えて、身体でボールの感覚を覚えます。

リフティングはボールさえあれば1人でできる練習メニューなので、お家や、庭や、公園でも練習することができます。
まずは「自分の学年×10回」を目標にし、達成できたらインサイド、アウトサイド、もも、頭などからだのいろいろな部位を使って練習してみましょう。

保護者の皆様、技術は、1日や2日、1カ月程度の練習で簡単に身につくものではありませんので、焦らずに日々コツコツと練習できるようにお子様を応援してあげてください。

プロフィール

大石 鉄也

1979年11月26日生まれ。静岡学園高等学校から川崎フロンターレ入団。(在籍8年)川崎フロンターレ在籍時代に1年間、ブラジルグレミオに留学。2004年に現役を引退。現在は、子どもたちへの指導を行いつつサッカースクールカリキュラム開発及び指導者の育成にあたる。