コナミスポーツマスターインストラクター大石鉄也のサッカーコラム SOCCER COLUMN by Tetsuya Oishi

環境の変化での悩み

vol.97 | 2021/4


日頃のスクール運営において、ご理解とご協力をいただきありがとうございます。

4月になり新年度が始まり、新しい生活がスタートしました。
新しい学年になることで、期待もあり、不安もあり、慣れるまでは少し時間がかかるかと思いますが、何事にも積極的にチェレンジしていきましょう。
今月は、環境の変化での悩みについてお話します。


■環境が変わること

子どもたちは、上の学校にあがったり、学年がひとつあがったりと、少なからず生活環境が変化します。
子どもたちのサッカーにおける環境でも同じことが言えると思います。
「チームが変わる」、「チームメイトが変わる」、「指導者が変わる」など、さまざまな環境の変化があります。
そのような環境の変化において、特に指導者が変わることによってこれまでの指導方法や求めることに違いが出てくることがあります。その中で子どもたちは、戸惑ったり悩んだりします。この悩みは多くの子どもたちが幾度となく経験することだと思います。


■環境が変わっても大切なこと

私はサッカーに「正解」「不正解」はないと考えています。従って、指導者の善し悪しは簡単に判断できるものではなく、結果もすぐに出るものではないと考えています。
ただ、サッカーをしていく上で、どんな環境の変化があっても、変わらないことがあります。それは、個人技術はしっかりと身に付けておくべきだということです。
環境の変化に悩むことはあると思いますが、子どもたち一人ひとりの取り組みとして、個人技術をしっかりと身に付けるためのリフティング・ドリブルの練習は、欠かすことなく続けるようにしていくことが大切です。

個人技術の練習をしていく中で、ボールに触った数が多ければ多いほど技術は必ず身に付きます。誰よりも多くボールに触れることを意識してコツコツと練習を積み上げることが、自分自身を上達させるために1番大切だと思います。

そして、高校生までの時期(育成時期)は自分のやりたいプレーに積極的にチャレンジすればいいと思います。もちろん、指導者の言葉を無視していいわけではなく、「この指導者が1番に求めていることは何か」というポイントは、常に意識しながら、自らのアイデアをもって積極的にチャレンジしていけばいいと思います。


■サッカーを楽しむ時間も必要

環境が変わることで戸惑い、うまくいかない時期は誰にでもあります。特に小学生ぐらいの年代は、戸惑いが不安になってしまい、時にはやる気をなくしてしまうことがあるかもしれません。そんな時は、もう一度、サッカーの楽しさを思い出すために、友達と遊びでサッカーをしたり、テレビやスタジアムでサッカー(Jリーグなど)の観戦を楽しんだり、もっと気楽にサッカーを楽しむといった時間を作ることも大切だと私は思います。

戸惑い悩んだりする中で練習を続けていても、小学生年代ではそこまでメンタルは強くありません。
保護者の方は、子どもの成長を長い目で見て、時には息抜きをするため、サッカーを楽しむ時間を子どもたちと一緒に作っていただけたらと思います。

サッカーが楽しいと思うことで好きになり、好きになることでさらに努力できると思います。


■まとめ

環境が変わることで子どもたちは、さまざまなことで悩むことがあると思います。
しかし、どんな環境の変化があっても、変わらないことがあります。それは、個人技術はしっかりと身に付けておくべきだということです。どんな指導者、チームメイトでも個人の技術(止める・運ぶ・蹴る)は高めておくことが大切です。
自分を信じて技術練習を繰り返し、自分の技術レベルを高めるための努力を惜しむことなく取り組みましょう。
そのような中で、息詰まってしまった時には、サッカーを思いっきり楽しむ時間を作りましょう。子どもたちの成長過程において重要なことは、目の前のことに振り回されず、もっと長い目で見て、環境の変化にも柔軟に対応できるように、真剣ながらも気楽にサッカーに携わる時間も大切にしていくことだと私は思います。ぜひ、もっともっとサッカーを楽しんでほしいと思います。

プロフィール

大石 鉄也

1979年11月26日生まれ。静岡学園高等学校から川崎フロンターレ入団。(在籍8年)川崎フロンターレ在籍時代に1年間、ブラジルグレミオに留学。2004年に現役を引退。現在は、子どもたちへの指導を行いつつサッカースクールカリキュラム開発及び指導者の育成にあたる。