コナミスポーツマスターインストラクター大石鉄也のサッカーコラム SOCCER COLUMN by Tetsuya Oishi

セレクションの結果についての捉え方

vol.79 | 2019/11

11月に入り、日もすっかりと短くなり、気温も下がってきました。
練習中や練習の行き帰りで風邪をひかないように、汗はしっかりと拭き、体調管理には十分に気をつけるようにしましょう。

毎年、夏から秋にかけて小学6年生を対象に、ジュニアユース(中学生)のセレクション(選考会)が各チームで実施されています。
多くの選手がチャレンジし、セレクションの合否結果を受け、それぞれに感じるところがあると思います。
今月は、ジュニアユースのセレクションについてお話したいと思います。

■セレクションとは
セレクションとは、学校で例えると、受験と同じです。自分の希望するサッカーチームに受験するということです。
セレクションの内容は、それぞれのチームによって異なりますが、どのチームでも共通してゲーム形式(ハーフコートゲーム、ミニゲーム)は行い、ゲームの中の動きからチームが求める選手であるかを確認し、合否の結果を出しています。

■セレクションで求められること
セレクションを通じて選考する指導者は、どのようなポイントに目を向けているのか気になるところです。
ここでは、私の経験や実際にセレクションで選考してきた指導者からの意見をもとにポイントをお話したいと思います。

① チームの戦術にフィットするかどうか?
これは、チームの戦術に対して、選手がどのようなプレーができて、チームとしてあてはまるポジションがあるかを見ることになります。
チームとしては、戦術を重視し、チームの戦力となる選手を獲得したいという思いがあります。ただ、私はこの点についてはあまり共感できません。
本来、目を向けるべきは、選手の持つ実力がチーム戦術にあてはまるかどうかでは無く、戦術に対応できる技術や能力、柔軟性を備えているかを見るべきだと思います。

② たくさんボールを触る選手がいいのか?
セレクションでゲーム形式になると、他の選手よりも目立とうとして、たくさんボールに触ろうとポジションを無視する、ドリブルばかりしてパスを出さないといったプレーをする選手を目にします。もちろん、積極的にチャレンジしアピールする姿勢は素晴らしいと思います。
しかし、選考する側としては、選手がゲームの中で状況判断ができているかを見ています。
ゲームの状況に応じて、いま、何ができるのか?どんなところにポジションをとるべきなのか?など的確な判断ができているのかを見ています。ですので、ただボールにたくさん触ればいいということではなく、アピールが必要な中にも、頭は冷静に自分のプレーを平常心で行うことが大切になります。

③ 消極的な性格やプレーでは、合格は難しいのか?
人それぞれに性格は異なり、積極的な選手もいれば、消極的な選手もいて様々です。
もちろん、より高いレベルでサッカーをしていくためには、積極的で気持ちが強いほうがいいと思います。
これまで見てきた経験において、セレクションで自信をもって、強い気持ちで、積極的にプレーできる選手に共通していたことは、現在、所属しているチームが強いということです。つまり、強いチームに所属しているということが、自信になり気持ちや積極性がプレーに現れてくるといったプラスの要素になっているのだと思います。
一方、所属チームは特に強くなくても、個としての技術レベルが高く、今後が期待できる素質をもった選手もたくさんいます。しかし、いざセレクションとなると、強いチームに所属している選手よりも、消極的でアピールが苦手といった面が見受けられます。
強い気持ち、積極性といった性格面は、サッカーをプレーする上でも大切な要素であり、それだけがすべてではないものの、セレクションの選考においてそのようなところを含めて確認している指導者がいるのも事実です。

■セレクションの合否が全てではない
セレクションを受ければ、必ず、合否は出ますが、この結果で選手の将来が決まるわけではありません。まだ、小学6年生です。
合否のいずれにしても、まだこれから、中学生、高校生と努力を積み重ねて、サッカー選手としての実力をつけていくことになります。
合否結果についてそれぞれの思いはあるでしょう。なかには、自信を無くしてしまったという選手もいるかもしれません。でも、本当の自信とは、努力の積み重ねにより、身につけた実力が結果に結びついたときに持つことができるものだと思います。
セレクションの合否によって得た自信も、そこで終わりではなく、さらに、中学生、高校生と継続して努力を積み重ねることで、さらに自信に磨きをかけていくことが大切です。将来、自信を持って堂々とプレーできるようになるための一つの通過点でしかないということ、今回の合否に関係なく、これからさらに努力し続けることが1番大切だと思います。


■まとめ
私が伝えたいことは、ジュニアユースのセレクションに合格をすることは、とても大切で素晴らしいことだと思います。しかし、例え不合格であったとしても、ここでサッカー人生が終わるわけではないし、落ち込む必要もありません。
まだ小学生ですので、これからたくさんの努力と様々な経験を積み重ね、さらに成長していく段階です。
サッカーのセレクションは、チームの数だけたくさんの指導者がいて、それぞれのチームの考えや見方があるわけですから、セレクションの合否だけでその選手のサッカーの全てが決まるわけではありません。
不合格により、悔しい思いを感じたり、あるいは、挫折などすることもあるかもしれません。
しかし、まだまだ先は長いです。それを乗り越え、もっとサッカーが好きになり、もっとうまくなりたいという純粋な気持ちを忘れずに、日々、努力を積み重ねていくことで、本物の実力がつき、それがいつか必ず自信になると思っています。
ジュニアユースのセレクションで思い通りのチームに行けたとしても、行けなかったとしても、この先も自分を信じて、続けて努力してほしいと思います。

コナミスポーツクラブサッカースクール指導者も、子供の「技術」「能力」「性格」をしっかりと理解し、子供の将来に繋がる指導をしていきたいと思います。

プロフィール

大石 鉄也

1979年11月26日生まれ。静岡学園高等学校から川崎フロンターレ入団。(在籍8年)川崎フロンターレ在籍時代に1年間、ブラジルグレミオに留学。2004年に現役を引退。現在は、子どもたちへの指導を行いつつサッカースクールカリキュラム開発及び指導者の育成にあたる。