コナミスポーツマスターインストラクター大石鉄也のサッカーコラム SOCCER COLUMN by Tetsuya Oishi

サッカースクール試合イベントを通じて

vol.55 | 2017/10

10月に入り気温もだいぶ下がり過ごしやすい季節になりました。
風邪をひきやすい季節になってきますので、手洗い、うがいをこまめに行い、
体調管理には十分に注意するようにしましょう。

今月は、サッカースクール試合イベントを見て感じたことをお話しします。
コナミスポーツクラブサッカースクールでは、スクール授業の一環として試合イベントを定期的に開催しています。
スクールは、少年団・クラブチームとは異なり、チームとして対外的な試合をする機会がないため、定期的に試合をする機会を設け、子供たちには、試合を通じてよりサッカーの楽しさを実感してもらいたいと考えています。

でも、いざ試合となると、やはり、誰もみな勝ち負けに対する気持ちが先行してしまいがちです。
もちろん、試合ですので勝ち負けは必ずつきます。そして、勝ち負けに拘ることは非常に大切だと思っており、「勝つ喜びを実感する」、「勝つことで自信につながる」、「負ける悔しさを実感する」、「負けることで更に努力しようと頑張れる」など、勝ち負けの結果から学ぶことはたくさんあると思っています。

しかし、勝ち負けだけに拘りすぎてしまうと、子供たちは、チャレンジ精神が薄れ、同時に失敗を恐れ、プレーが消極的になってしまいます。
加えて、保護者もついつい応援に力が入りすぎてしまい、かえって子供に対して大きなプレッシャーをかけてしまうこともあります。

先にもお話したとおり、勝ち負けによって学ぶことの大切さは、十分に理解しています。そのうえで、コナミスポーツクラブサッカースクールでは、勝ち敗けに拘ることよりも、普段の練習でやっていることを試合の中でどれだけ「積極的にチャレンジできるか」、「試合の中で発揮できるか」といったことを一番重視しています。

子供たちにとって、目の前の勝ち負けという結果よりも、試合においてどれだけ多くのチャレンジができたか、積極的にプレーできたかということが、今後、さらに成長していくために一番大切なことであると考えています。もし、勝ち負けだけに拘ったとしたら、その時点で上手な子供ばかりが目立ってしまい、まだ、はじめたばかりの子供や、今はまだ思うようにプレーできていない子供は、なかなか、試合に入り込んでいけず、出場の機会にも恵まれないといったことが起きてしまいます。
そのため、この試合イベントの選手交代は、子供たちの出場時間ができるだけ均等になるように行い、参加した子供たち全員が試合の中で均等にチャレンジできるチャンスを作るようにしています。

子供が楽しいと感じる時は、自ら一生懸命に取り組んでいる時だと思います。
サッカーも同じく、試合に積極的に参加していくことで、サッカーの楽しさを今以上に実感すると思っています。そのためにも、指導者は、積極的にチャレンジする環境を作っていく必要がありますので、これからも子供がチャレンジしやすい雰囲気を作っていきたいと考えています。

そんな思いで開催する試合イベントを通じて感じた子供たちの成長についてお話したいと思います。
率直にいうと、子供たち一人一人の技術は非常に成長しています。
以前までの試合イベントでは、試合中にボールをただ蹴っているだけで、ドリブルする子供はあまりいませんでしたが、今回は無駄にボールを蹴らず、思った所にボールを運ぼうと、積極的にドリブルすることができていました。
小学生の時期に、個人の技術をある程度身に付けておくことはとても大切です。
サッカーでは、≪戦術≫についてよく耳にしますが、戦術は相手に勝つための戦い方であり、試合における勝敗を左右するにあたって非常に重要になります。
しかし、コナミスポーツクラブサッカースクールでは戦術の指導は一切しておりません。
戦術は、個人の技術が身についていていなければ効果を発揮することができないからです。
いくらすごい戦術をもったチームでも、1人1人が思ったところにボールを運ぶ・止める・蹴ることができなければ、戦術は全く活かされません。
コナミスポーツクラブサッカースクールで戦術を指導しないのは、子供たちの成長過程で身に着けるべき技術の順序を大切に考えているためとご理解いただきたいと思います。
この順序とは、個人の技術習得(ボールを扱う技術)→味方との連携(状況判断・効率向上)→チーム戦術(システム・動き方)です。この順序の中で、小学生の年代では個人の技術習得が最も重要であり、この部分に特化した指導を心掛けています。
育成段階において、何が大切かをしっかりと考えてこれからも指導していきたいと思っています。
今回の試合イベントでは、ドリブルを積極的にチャレンジしていたことが、個人の技術習得のためにとても重要なことで、勝ち負けの結果よりも子供たちのドリブルに対する意識向上が子供たちにとって一番の収穫であったと思います。
今後も個人の技術習得のために、練習と試合でしっかりと成果を確認しながら指導していきたいと思います。

プロフィール

大石 鉄也

1979年11月26日生まれ。静岡学園高等学校から川崎フロンターレ入団。(在籍8年)川崎フロンターレ在籍時代に1年間、ブラジルグレミオに留学。2004年に現役を引退。現在は、子どもたちへの指導を行いつつサッカースクールカリキュラム開発及び指導者の育成にあたる。