コナミスポーツマスターインストラクター大石鉄也のサッカーコラム SOCCER COLUMN by Tetsuya Oishi

小学生時期のトレーニング環境

vol.44 | 2016/11

11月に入り、日もすっかりと短くなり、気温も下がってきました。
練習中や練習の行き帰りで風邪をひかないように、汗はしっかりと拭き、体調管理には十分に気をつけるようにしましょう。

今月は、『小学生のトレーニング環境』についてお話をしたいと思います。
サッカーを習う子供の人口は年々増えており、子供たちは、それぞれに目標を持って日々サッカーのトレーニングに励んでいると思います。
子供たちのトレーニング環境は、どのようなチームに所属しているのか、また、どのようなスクールに通っているのかによって様々であると思います。子供たちがどのような目的や目標を持ってトレーニングをしていくのかにもよりますが、トレーニング環境の良し悪しは、一概には判断できないと、私は思います。

例えば、強いチームやスクールに所属して、レベルの高い(レベルがある一定の力量を伴っている)仲間と一緒にトレーニングしていく環境が、子供たち自身のレベルアップに繋がるのではないかと考える人は多いと思います。
確かに、レベルの高い仲間からたくさんの刺激をうけて、毎日、必死にトレーニングしていれば、自然と子供たち自身のレベルも上がるのではないかという考えは間違ってはいないと思います。

では、強いチームでなければ、レベルアップは期待できないのでしょうか。
私は、小学生の時期だからこそトレーニングする環境において、もう一つ重要なことがあると考えています。
それは、様々なレベルの仲間がいる環境でトレーニングをするということです。

例えば、自分より技術面で上手な子もいれば、なかなかうまくできない子もいるでしょう。また、自分よりスピードのある子もいれば、スピードのない子もいるでしょう。そういった様々なレベルの仲間と一緒にトレーニングをすることが、実はとても大切だと思うのです。

それはなぜかと言うと、様々なレベルの仲間がいることで、その仲間の持っている力をよく知り、その仲間に合わせたプレーをする必要があるからです。
レベルの高い上手な仲間とのプレーでは、個々に高い力を発揮できることから、仲間に対してそれほどの気配りは必要ありません。一方、様々なレベルの仲間とのプレーでは、トラップの苦手な子がいたり、スピードのない子もいるため、仲間をよく見て、パスを出したり、相手がプレーしやすいように動くことが必要になります。
つまり、それぞれ仲間の特徴に合わせたプレーを要求されることとなります。
そうすると、うまくプレーを進めるために普段のトレーニングから頭を使うようになります。常に仲間が受けやすいパスを出し、仲間がプレーしやすい状況を作ってあげるための工夫がトレーニングをしていく中で身についていきます。

私が、小学生の試合を見ていてよく感じることは、レベルが高く上手な子は、同じようにレベルが高く上手にプレーできる子にしかパスを出さないケースが多いということです。このようなトレーニングやプレーを繰り返していると、どういう現象が起きると思いますか?上手な子は、上手な子しか見ない(探さない)ために、トレーニングやプレーにおける視野が狭くなってしまうのです。
また、目の前の試合に勝ちたい思いから、上手な仲間とだけのプレーや、自分勝手なワンマンプレーをしてしまうことにもつながり、サッカーにおいて最も大切なチームプレーを欠いてしまうことになりかねません。そうなると、将来的に苦労することも出てくるのではないかと思います。
一方、様々なレベルの仲間とともにトレーニングしてきた子は、プレーにおいて視野を広く持つことができ、どんなレベルの仲間にも合わせてプレーができるようになる素晴らしい選手になるための基礎が身につくのではないかと思います。
真に上手で技術力の高い選手というのは、如何にチーム個々の力を理解してプレーすることができる選手ではないかと思います。

『小学生時期のトレーニング環境』は、様々であると思います。どのような環境でも、チームとして常に周囲への気配りを意識しながらトレーニングしていくことが出来れば、将来的にプレーの幅がひろがることに繋がるのではないかと私は思います。そして、どのようなトレーニング環境においてもそのような意識を持ってトレーニングを続けてほしいと思います。

プロフィール

大石 鉄也

1979年11月26日生まれ。静岡学園高等学校から川崎フロンターレ入団。(在籍8年)川崎フロンターレ在籍時代に1年間、ブラジルグレミオに留学。2004年に現役を引退。現在は、子どもたちへの指導を行いつつサッカースクールカリキュラム開発及び指導者の育成にあたる。