ファウル(反則)について
vol.38 | 2016/05
新しい年度がはじまり1カ月が経過しました。
先月は環境の変化についてお話させていただきましたが、そろそろ新しい生活リズムや学校生活に慣れてきたころではないでしょうか?
まだまだ慣れるにはもう少し時間がかかりそうだというお子様もいるかもしれませんが、自分のペースで焦らずに少しずつ楽しいことを見つけながら慣れてけたらといいと思います。
今月は、ファウル(反則)についてお話をします。
子供たちを指導していく中で、ファウルについてどのように伝えるのかは、非常に重要だと考えています。
そのようななかで、ジュニアの育成段階における練習や試合を見ていて気になることがあります。
それは、指導者が故意なファウルをすること、または、故意にファウルをもらうことを指導していることがあります。試合で勝利するために、そういったことを指導しているのだと思いますが、私はこの考えには共感できません。
故意にファウルをすることや故意にファウルをもらうことは、将来を考えて子供たちのためには全くならないと思っています。
試合において、ファウルが起こる可能性は十分にありますが、故意にファウルをする子供がいるようでしたら、指導者はそれを注意するべきだと思います。
故意にファウルすることで、決定的チャンスを阻止して、その行為を褒める指導者がいるようでしたらそれは違うと思います。
なぜなら、子供たちは故意にしたファウルを褒められたという実感で、その行動が正しいものと判断して、また次も同じことをするでしょう。それをこの先繰り返したとしたら、その子供は、ファウルでしか相手を止めることが出来なくなってしまいます。
特に子供の頃は、成功と失敗をたくさん繰り返すことが非常に重要だと思っています。
“成功したことは自信に繋がり”、“失敗することはやがて成長に繋がります。”
今回の話に例えると、故意にファウルをして相手を止めるのことは、その時だけの結果を見れば成功かもしれません。
しかし、この行為が子供の将来につながるでしょうか?
もし、相手を阻止することに失敗し、相手に抜かれたことで得点されたとしても、何故抜かれたのか?次に同じようなことが起こったときは、どのような対応をしてみようかということを考えることで、対応能力が向上すれば、それが、子供の成長につながると思います。
子供たちの将来のことを本当に考えているのであれば、その場の結果(勝利)よりも失敗となった現実と向かい合わせてあげることが本来の指導だと思います。
なぜ、うまく出来なかったのかということに一緒に向かい合ってあげることで、次の策やアイディアが生まれてくるのだと思います。
このようにして成功と失敗を繰り返していくことで、子供は確実に成長していくと思います。
今までのコラムでも何回かお話していますが、子供の指導は今だけ(目先)の結果に捉われるのではなく、将来を考えて長い目で子供をみてあげることが重要だと思います。
当たり前ですが、故意にファウルをすることや、故意にファウルをもらうことは、怪我にも繋がります。怪我をするほど残念なことはありません。
サッカーをしていく中で、怪我が起こってしまうことはありますが、故意なファウルによるもったいない怪我だけはなくしていく必要があります。そのためにも、普段からフェアプレーで練習、試合に臨んでいく環境作りは大切だと思います。
プロフィール
大石 鉄也
1979年11月26日生まれ。静岡学園高等学校から川崎フロンターレ入団。(在籍8年)川崎フロンターレ在籍時代に1年間、ブラジルグレミオに留学。2004年に現役を引退。現在は、子どもたちへの指導を行いつつサッカースクールカリキュラム開発及び指導者の育成にあたる。