コナミスポーツマスターインストラクター大石鉄也のサッカーコラム SOCCER COLUMN by Tetsuya Oishi

ジュニアユースセレクション

vol.33 | 2015/12

本格的な寒さになり、冬がやってきました。
風邪などひかないように、体調管理には十分に注意して過ごしましょう。

毎年、夏休み頃から12月までのこの時期に、小学6年生は、進路を決めるためジュニアユース(中学生)のセレクション(選考会)を受けます。

今月は、ジュニアユースセレクションについてお話したいと思います。
セレクションは学校で例えると、受験と同じです。自分の希望するサッカーチームに受験するということです。
セレクションの内容は、それぞれのチームによって異なりますが、どのチームでもゲーム形式(ハーフコートゲーム、ミニゲーム)は、必ず行います。
その中で、セレクションで選考する指導者は、どんなところに目を向けているのか気になるところです。
ここでは、私の経験や実際にセレクションで選考してきた指導者からの意見をもとに、子供たちのどんなところを見ているのかなどをお話したいと思います。

①:チームの戦術にフィットするかどうか?
これは、チームの戦術に対して、選手がどのようなプレーができて、あてはまるポジションがあるかというところを見ることになります。正直、私はこの点についてはあまり共感できません。
どちらかというと、子供の持つ実力がチーム戦術にあてはまるかどうかでは無く、戦術に対応できる技術、能力があるかといった対応能力、柔軟性をみるべきだと思います。

②:たくさんボールを触る選手がいいのか?
セレクションでゲーム形式になると、目立とうとして、たくさんボールに触ろうと、ポジションを無視したり、ドリブルばかりしてパスを出さないなどといった選手を目にします。もちろん、積極的にチャレンジしアピールする姿勢は素晴らしいと思います。
しかし、選考する側としては、状況判断ができているかを確認しています。
ゲームの状況に応じて、いま、何ができるのか?どんなところにポジションをとるべきなのか?などを確認しています。ですので、ただボールにたくさん触ればいいということではなく、アピールが必要な中にも、頭は冷静に普段の自分のプレーを平常心でやることが重要になります。

③:消極的な性格やプレーでは、合格は難しいのか?
人それぞれに性格は異なり、積極的な子供、消極的の子供など様々です。
もちろん、より高いレベルでサッカーをしていくためには、積極的で気持が強いほうが良いと思います。
今まで見てきた中で、セレクションで自信をもって、強い気持ちで、積極的にプレーできる子供に共通していたことは、子供が所属しているチームが強いということです。強いチームに所属しているということだけで、自信を持ってプレーできていることは間違いありませんので、それだけでプラスの要素だと思います。
一方、所属チームは特に強くなくても、個としての技術レベルが高く、今後が期待できる素質をもった子供もたくさんいます。しかし、いざセレクションとなると、強いチームに所属している子供よりも、消極的でアピールが苦手といったことがあります。
強い気持ち、積極性といった性格面は、サッカーをプレーする上でも大切な要素で、それだけがすべてではありませんが、セレクションの選考においてそのようなところを含めてみている指導者がいるのも事実です。

そうはいっても、まだ、小学6年生です。これから、中学生、高校生になるにつれて、サッカー選手としてさらに磨きをかけ、実力を発揮して自信をつけていくことになります。
そこを踏まえ、セレクションで指導者は、積極的に目立つだけの事実よりも、これからの将来性を含めて選考する必要があると考えています。
自信を持ってプレーできるにこしたことはありませんが、自信とは、努力の積み重ねにより、それが結果としてでてきた時に初めて持つことができるものだと思っています。
この小学生の時期に持った自信よりも、さらに、中学生、高校生と継続して努力した結果、持つことのできる自信が大切だと思いますので、単に子供たちの今を評価するのではなく、将来、自信を持って堂々とプレーできるように努力し、それを指導者が育成していくことが大切だと私は考えています。

今回、私が伝えたいことをまとめますと、ジュニアユースのセレクションに合格をすることは、とても大切で素晴らしいことだと思います。しかし、例え不合格になってしまったとしても、ここで落ち込む必要はありません。
サッカーのセレクションに正解、不正解、があるわけではなく、チームの数だけたくさんの指導者がいて、それぞれのチームの考えや見方があるわけですから、セレクションの合否だけで子供のサッカーの全てが決まるわけではありません。
不合格により、悔しい思いをしたり、あるいは、挫折などすることもあるかもしれません。
しかし、それを乗り越え、もっとサッカーが好きになり、もっとうまくなりたいという純粋な気持ちを忘れずに、日々、努力を積み重ねていくことで、本物の実力がつき、それがいつか必ず自信になると思っています。
このジュニアユースのセレクションで思い通りのチームに行けたとしても、行けなかったとしても、この先も自分を信じて、続けて努力してほしいと思います。
私たち指導者も、子供の「技術」「能力」「性格」をしっかりと理解し、子供の将来に繋がる指導をしていきたいと思います。

プロフィール

大石 鉄也

1979年11月26日生まれ。静岡学園高等学校から川崎フロンターレ入団。(在籍8年)川崎フロンターレ在籍時代に1年間、ブラジルグレミオに留学。2004年に現役を引退。現在は、子どもたちへの指導を行いつつサッカースクールカリキュラム開発及び指導者の育成にあたる。