コナミスポーツマスターインストラクター大石鉄也のサッカーコラム SOCCER COLUMN by Tetsuya Oishi

プレーの幅を広げるために

vol.19 | 2014/10

朝晩が冷える季節になってきましたが、体調はいかがでしょうか。先日、ある少年団の小学校3年生以下(低学年)の練習を見学させていただきました。今回はそこで感じたことをお話したいと思います。

私が見学した日は、ドリブルからのシュート練習が中心でした。そこで少し気になったのは、ドリブルがワンパターンになってしまっている子どもが多かったことです。つまり、自分が使いやすい、得意な足の部位しか使っていなかったのです。当然、どんな選手でも得意なドリブルをする場面は多いですが、技術を習得しやすい小学校低学年の時期だからこそ、いろいろな部位を使ったドリブルにチャレンジすることが大切だと思います。

案の定、その影響はゲーム(紅白戦)に出ていました。ドリブルを仕掛けてはいたものの、相手をかわす方向が自分の得意な方向に限られてしまっていたのです。そのため、ゲームの時間が経過するにつれて、相手に読まれてしまうケースが多く見られました。

もちろん自分の得意なプレー、つまり自分の武器を持つことは非常に大切です。しかし、その武器を最大限に生かすためには、他のプレーもできるようになる必要があります。これは非常に重要なポイントですので、ぜひ覚えておいてくださいね。

例えば、パスを武器とする選手が、ドリブルもうまかったらどうでしょう。パスを警戒する相手に対して、ドリブルを仕掛けて“裏”をかくことで、相手はドリブルも警戒しなくてはなりません。すると、今度は本来の武器であるパスが生きてきます。プレーの選択肢を複数持つと、相手にとっては非常に嫌な選手になるのです。

ですから練習の際には、自分の得意なプレーを生かすために何ができるか、これを考えることが非常に重要です。だからこそ、小学校低学年の時期から、ドリブル1つとってもいろいろな足の部位を使う習慣を付けていく必要があります。同じ部位ばかりで練習していると、中学生や高校生、さらに上を目指す際に、プレーの幅がすごく狭くなってしまうのです。

指導者としては、その練習の目的や意図を、子どもたちにしっかりとメッセージとして伝える必要があります。1度で子どもたちに100%理解させることは現実的に難しいため、日々の練習の中で継続的に伝えていくことが重要です。例として挙げたドリブル練習に関しても、指導者が何も言わなければ、子どもたちが自分のやりやすい方法でしか取り組まないのは当然でしょう。

サッカーにはたくさんの指導者がいて、指導方法もさまざまです。しかし、保護者の方がお子さんの練習や試合を見る際には、「プレーがワンパターンになっていないか」に、ぜひ着目してみてください。チャレンジしての失敗は素晴らしいことですから、苦手なプレーにも挑戦しやすい声掛けを意識していただければと思います。

プロフィール

大石 鉄也

1979年11月26日生まれ。静岡学園高等学校から川崎フロンターレ入団。(在籍8年)川崎フロンターレ在籍時代に1年間、ブラジルグレミオに留学。2004年に現役を引退。現在は、子どもたちへの指導を行いつつサッカースクールカリキュラム開発及び指導者の育成にあたる。