コナミスポーツマスターインストラクター大石鉄也のサッカーコラム SOCCER COLUMN by Tetsuya Oishi

11ヵ月のブラジル留学を振替って

vol.9 | 2013/12

今回でブラジル留学体験談も最後。11カ月間におよぶブラジル留学で、私が最も学んだことを伝えたいと思います。それは、何と言ってもサッカーに対する取り組み方です。失敗を恐れずに、とことん挑戦することの大切さを強く感じました。

小学生からプロ選手まで、練習で遠慮している選手は1人もいません。失敗が恥ずかしいなんて思っている選手はおらず、いつでも積極的に自分のアイディアや技術にチャレンジしていました。挑戦して失敗したら何としてでも自分でボールを取り返す、という考えが当たり前で(もちろんファウルはいけません)、ボールを取り返せば監督はミスについて何も言いませんでした。

とにかく自分から進んで試してみる、ということを深く学びました。私自身、日本ではミスをしないよう心掛けていましたが、それではその後の成長はなかったと思います。やはり現状維持では先は見えてきません。1つのことができたら、次のことを成功させるために何回も何回も練習を重ね、たくさんの失敗を経験しながら技術を身に付ける。こういったことを繰り返して成長していくのです。

これは年齢やレベルには一切関係ありません。今の自分に何ができて、何ができないかを考え、できるプレーは伸ばしつつ、できないプレーを1つずつとことん練習するしかありません。自分は自分、他人は他人。自分に足りない技術を身に付けることが、小学生年代は特に大切だと思います。

なぜかと言うと、小学生は発育の個人差が大きいからです。今の段階で周囲と比べて一喜一憂しても、あまり参考になりません。とにかくドリブルやリフティングをたくさん練習して技術を身に付けてください。「自分は上手だから練習は少しでいい」というブラジル人はいませんでした。うまい選手ほど多くの挑戦をし、努力し続けていました。

11カ月間のブラジル留学は、色々な経験や出来事があった分すごく長く感じました。日本のように恵まれていない中、与えられた練習着やサッカーボールで必死に練習するブラジル人たちの姿は、10数年たった今でも印象に残っています。良い道具に頼るのではなく、毎日ボールにたくさん触り、足にボールの感覚を完璧に覚えさせる。それが彼らの強さや高い技術の秘訣だと、私は感じました。

「ブラジル人=サッカーがうまい」と、誤解してはいけません。ブラジル人選手は誰もが、心から上達しようと必死に努力しています。毎日毎日、プロサッカー選手になりたい一心で練習に励んでいるのです。指導者に言われたから練習するのが日本人、プロ選手になりたいという強い気持ちで自分から練習するのがブラジル人、私には少なからずそんな印象があります。日本人はすごく器用です。だからこそ「今より少しでもうまくなってやる!」という、強い気持ちで練習に取り組んでほしいと願います。

プロフィール

大石 鉄也

1979年11月26日生まれ。静岡学園高等学校から川崎フロンターレ入団。(在籍8年)川崎フロンターレ在籍時代に1年間、ブラジルグレミオに留学。2004年に現役を引退。現在は、子どもたちへの指導を行いつつサッカースクールカリキュラム開発及び指導者の育成にあたる。