コナミスポーツマスターインストラクター大石鉄也のサッカーコラム SOCCER COLUMN by Tetsuya Oishi

ブラジル留学体験談1

vol.4 | 2013/07

先日のコンフェデレーションズカップは観戦ましたか? 今回のコラムでは、来年のワールドカップ開催国ブラジルに私が留学したときのお話をします。高校卒業後に入団した当時J2の川崎フロンターレが、ブラジルのグレミオというチームと提携を結んでいたため、私は入団1年目にブラジルにサッカー留学をしたのです。

ブラジルはワールドカップ最多優勝回数を誇るサッカー王国で、言わずと知れたサッカーの本場です。皆さんも裸足のまま路上でサッカーをしている子供たちを、テレビなどで観たことがあるでしょう。ブラジルではあのような光景があちらこちらで見られるのです。夜9時を過ぎても外灯の下でボールを蹴り続ける子供たちには私も驚かされました。貧しい生活から抜け出し親孝行するために、皆がプロサッカー選手を目指して毎日ボロボロのサッカーボールを蹴っているのです。子供たちだけではありません。週末には多くの大人が狭いスペースで楽しそうにストリートサッカーをする。「暇さえあればサッカー」ということが習慣になっている印象を受けました。

ブラジル人はサッカーが上手い上手くないに関わらず、とにかくサッカーというスポーツが本当に好きで観戦にも熱が入ります。日本にJリーグがあるように現地にも国内リーグがあります。日本みたいにきれいではありませんが、5万人位を収容できる大きなスタジアムばかりです。リーグ戦の日は試合開始3時間前から会場周辺はすごい人だかりで、ほとんどの試合がほぼ満員。チケットが足りずに会場に入れなかった人は、スタジアムの外でラジオを聴きながら必死に応援しています。ホームチームに得点が入ると5万人近い観客がいっせいに立ち、大きな歓声とともにスタジアムが縦に揺れます。信じられますか? 本当に揺れるんですよ! Jリーグでこのような体験をした方はいないでしょう。あの迫力ある雰囲気には心から感動しました。

1番の驚きはブラジル代表戦の日です。試合前からお祭り騒ぎで、あちらこちらで国歌を歌って大盛り上がり。試合中はテレビの前に大勢が集まって応援し、ブラジルに得点が入ると花火が上がります。会場は遠い外国のはずなのに、自分たちの目の前で試合が行われているかのような雰囲気でした。試合に勝てばそのままお祭りとなり、負ければ一気に静まる。国民全員が選手と同じ気持ちになって代表戦に臨んでいるのがすごく伝わってきました。「さすがサッカー文化の根付いた国だ」と感じたと同時に、国民全員があれだけの応援をしてくれたら、選手は素晴らしいプレーで期待に答えなければなと感じました。

子供の頃から毎日サッカーボールに触れ、上手い選手の良いプレーをたくさん観て、プロ選手になりたいという強い気持ちがあるからこそ、ブラジルには素晴らしい選手が生まるのだと思います。ブラジルの強さの理由はハングリー精神にあるのではないでしょうか。それに比べると日本人は恵まれすぎてハングリーさに欠けていると実感したものです。

プロフィール

大石 鉄也

1979年11月26日生まれ。静岡学園高等学校から川崎フロンターレ入団。(在籍8年)川崎フロンターレ在籍時代に1年間、ブラジルグレミオに留学。2004年に現役を引退。現在は、子どもたちへの指導を行いつつサッカースクールカリキュラム開発及び指導者の育成にあたる。