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佐藤博康プロのテニスコラム

COLUMN

全日本ベテランテニス選手権を終えて

2021.12.27

今回は、私自身が全日本ベテランテニス選手権大会に初めて出場することになったきっかけから書かせて頂きたいと思います。

私とペアを組む依田さんとは幼稚園、小学生、中学生時代を共に過ごした幼なじみ。
私は小学4年からテニスを始めましたが、彼は高校生くらいからテニスを始めたと思います。少年野球をやっていた事もあり、元々彼の運動能力は高かった記憶はありました。
高校、大学とテニスに明け暮れた後は出版関係の仕事が忙しく、テニスとは距離を置いていたようですが、彼自身が久しぶりに大会に出場したのをきっかけに再びテニス熱が復活。
同世代の大会で常に上位進出をするペアに、どうしても勝ちたい!という気持ちが高まっていったようです。

依田さんは、私のプロテニスプレイヤーとしての活動にも共感してくれていて、彼の経営する会社に所属契約選手として支援して頂いた時期もありました。そのような時間を経て、私も今後の自身のテニスの活動や方向性について話していたときに、ITFシニアツアーへの参加という話を彼からもらいました。
久しぶりに海外で試合ができるワクワク感と、ペアである依田さんにテニスを教えながらも引っ張って試合に勝ちにいく、というなんともやりがいのある仕事のオファーでした。
私は喜んで引き受けることになり、その海外での試合をきっかけに「次は全日本ベテランで優勝しよう!」という目標になっていきました。

今年初めて出場した全日本ベテランテニス選手権という大会の感想ですが、今回はコロナ禍ということもあり、無観客での開催となってしまいました。私自身はシングルスにもエントリーし、単複優勝を目指して挑みましたが結果的にシングルスはベスト8で優勝者に負けてしまいました。言い訳になってしまうかもしれませんが、今大会前に膝を痛めてしまいシングルスの準々決勝ではファーストセットを6-4で取った後思ったように身体が動いてくれませんでした…。シングルスでの敗戦後にすぐダブルスの準々決勝があったのですが、やはり思ったように身体が動かずにファーストセットを取られてしまいます。本当にピンチでしたが、ここで負ける訳にはいかない!とペアと2人でそこから踏ん張り、何とか勝つ事ができました。

ペアの依田さんも大会前から覚悟はしていたと思いますが、実際に試合では予想以上に狙われて私のところにボールがほとんど来ない展開となる試合が続きました。決勝戦は極端にその傾向が強い展開となり、相手のペアはディフェンディングチャンピオンの高橋、右近ペア。右近さんはシングルスで私に勝って優勝しているので、同じ大会で、2回同じ相手に負ける訳にはいきません。
実は初めてチャレンジしたITFのシニアツアーのタイ(パタヤ)で対戦した経験があり、そのときは私達のペアがストレートで勝利していました。その過去の対戦の経験や相手ペアの高橋さんとは私もペアを組んで試合に出ていたこともあったので、私のことは色々と知られていたこともあり、とてもやりにくい対戦相手となっていました。
決勝の展開はファーストセットを7-6(4)で取り、セカンドセットは2-6で取られファイナルセットも先にサービスゲームをブレイクされて3-4でリードされる苦しい展開でした。そこから相手ペアの疲労もあり、2人で気持ちを強く持ちなんとか勝ち切ることができました。決勝戦、試合時間は3時間半を超えるロングマッチに。
私も過去に5セットマッチの試合は経験していますが、3セットマッチのダブルスでは過去最長の試合となり、ペアの依田さんの頑張りは本当に素晴らしいものでした。試合に勝って涙が出たという経験は過去に記憶がない中で、今回の勝利した瞬間には思わず涙が出てしまいました。それはこの決勝戦こそペアの頑張りによる勝利であり、本当に良く頑張ってくれたという心からの感謝の感情の表れだったと思います。

今回、私の全日本ベテランへのチャレンジで感じたことは、テニスを頑張っている全ての方にチャレンジしてもらいたい、是非自分でもやれるんだ!という信じる気持ちをもって一歩を踏み出して頂きたいということです。
テニスを頑張る全ての方々にチャンスがあると、私は思います。
ぜひ一緒に、がんばりましょう!