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泳ぎの基本をしっかりマスター
高安亮選手直伝!
正しいクロールの泳ぎ方と教え方

「クロール」は水泳の中でもっとも基本となる泳ぎ方です。
他の泳ぎ方にもクロールのコツがとても役に立ちます。クロールのコツを覚えて、さらにいろんな泳ぎが出来るようになると、どんどん水泳が楽しくなっていきます。
ここでは、元日本代表・高安亮選手のお手本を参考に、「クロール」の代表的な4つのコツと練習方法をご紹介します。

1.「クロール」の4つのコツを、きちんと覚えよう

※ お手本動画を見てチェックしよう!

クロールが上手に泳げるようになるためには、4つのコツを覚えることが大切です。
まず、しっかり水に浮くための「正しい姿勢」。次に、前に進むための効果的な「腕の回し方」。そして、苦しくならないための「息つぎの仕方」。最後に「息つぎのタイミング」です。これらのコツをご紹介します。

① 浮きやすい正しい姿勢

初めてクロールを泳ぐお子さまの場合、下半身が水中に沈んでしまっていることがよくあります。身体を反らさずにしっかり伸ばして、水面と水平になるように意識しましょう。
また、ひざを大きく曲げてバタ足をするのはやめましょう。足が水面から出るほど下半身が沈んでいってしまいます。足は軽く内股にし、蹴り幅は足のサイズほどにとどめて、両足の親指が軽く触れる程度の姿勢でバタ足を行いましょう。

浮きやすい正しい姿勢の写真

身体をしっかり伸ばして水平に

浮きやすい正しい姿勢の写真

親指が軽く触れる程度でバタ足

② 肩から大きく腕をまわす

クロールの推進力は腕で決まります。腕を大きく回すことがとても大切です。回す腕が前から後ろに回ったところで、肩をグッと開くようにすると、肩から腕を大きく回すことができます。

肩から大きく腕をまわすの写真

肩をぐっと開いて大きく腕を回す

③ 正しい息つぎ

息つぎのコツは、水中で息を吐くこと。意外と多いのが水中で息を止めてしまう人。これでは顔を上げたときに、十分に息を吸うことができず、次第に苦しくなっていき、長い距離を泳げません。水中で鼻から「ンー」と長く吐き、顔を上げたら「パッ」と口を開けて、息を吸いましょう。

正しい息つぎの写真

水中で息を吐く

④ 息継ぎのタイミング

息継ぎをマスターしたら、腕の回転と息継ぎのタイミングを合わせましょう。
手を回しはじめたら横を向いて息を吸い、腕が水面に戻る前に顔を水につけます。顔を上げるときは、伸びている腕を枕にするイメージで、頭が伸びている腕から離れないようにしましょう。

息継ぎのタイミングの写真

伸びている腕を枕に

コツを覚えたら、それぞれのコツを一つずつ、しっかり練習しましょう!次にお子さんとの練習方法をご紹介します。

2.「クロール」のコツをつかむ、お子さまへの分かりやすい教え方

高安選手のお手本を参考に、4つコツを一つずつ、練習しましょう。

① 身体を伸ばして、浮きやすい正しい姿勢を身につけよう

※ 動画をチェックし、練習してみよう!

まずは正しい姿勢を身につけます。

1. まずは正しい姿勢づくりから

最初はプールサイドで、正しい姿勢づくりの練習から行います。
壁に背中をつけて立ち、両手の中指がそろうように手のひらを重ね、腕を前から上げて頭を挟みます。背伸びをして身体をピンと伸ばした状態が「けのび」の姿勢です。

まずは正しい姿勢づくりからの写真

まずは正しい姿勢を身につけます。

まずは正しい姿勢づくりからの写真

体をピンと伸ばす

補助者は、片手でお子さまの手をつかみ、もう一方の手をお腹にあてて、身体が反っていないかを確認します。反っている場合は、お尻をキュッと締めるように指示しましょう。この姿勢で10秒キープが目標です。

まずは正しい姿勢づくりからの写真

姿勢の確認

2. 足がしなる感じを意識して、水を蹴る感覚をつかむ

次にバタ足の練習です。足の甲で水を蹴る感覚を身につけます。
プールサイドに腰を下ろし、水面に足をつけます。両手は後ろについて身体を伸ばして行いましょう。足は軽く内股に、親指同士をこするよう動かします。
補助者はプールに入り、持ち手の親指が上に来るようにお子さまの足首をやさしくつかみ、バタ足をサポートします。お子さまが足を下ろすときは親指で軽く押し込み、上げるときは親指以外の4本で持ち上げるように、しなる感じを意識します。蹴り幅はお子さんの足のサイズを目安にして、大きく蹴り過ぎないようにしましょう。

足がしなる感じを意識して、水を蹴る感覚をつかむの写真

親指同士をこするように

足がしなる感じを意識して、水を蹴る感覚をつかむの写真

蹴り幅は足のサイズを目安に

② 肩から大きく腕を回して、ひとかきでいっぱい進もう

※ 動画をチェックし、練習してみよう!

しっかりと前へ進むための、正しい腕の回し方を練習します。

1. 肩を引き、腕を回す練習

最初はプールサイドで、大きな腕の回し方を身につけます。
両腕を揃えて前に伸ばした状態から、片手ずつ回していきましょう。腕を下ろすときは、身体から離れすぎないように、手がお腹の前を通るように回します。太ももまで回したところで、肩を後ろにグッと引いてみましょう。そうすることで、肩が開き、腕を大きく回すことができます。このとき、回していない方の腕を前に伸ばすと肩が開きやすくなります。
また、手のひらは返らないよう、手首の動きには注意を。
補助者はお子さまの後ろに立ち、横からそれぞれの腕を持ちましょう。回す腕を親指で押しながら太ももまで誘導してあげましょう。このタイミングで、伸ばしたままの腕を前方に押し出してあげると、肩が開き、腕を回しやすくなります。

肩を引き、腕を回す練習の写真

太ももまで回ったら肩を開いて大きく回す

肩を引き、腕を回す練習の写真

手のひらが返らないように注意

2. 水中で腕を大きく回す感覚を身につける

慣れてきたら水中で練習です。
補助者はお子さまの前に立ち、お子さまの手首を支えるように持ちます。お子さまが回す方の手を親指で下に押してあげましょう。腕が太ももまで回ったところで伸ばしたままの腕を少し前に引いてあげます。

水中で腕を大きく回す感覚を身につけるの写真

お子さまの手首を支えるように

水中で腕を大きく回す感覚を身につけるの写真

伸びている腕を引いてあげる

③ 正しい息つぎで、楽に呼吸できるようになろう

※ 動画をチェックし、練習してみよう!

水泳の正しい呼吸法は「鼻から吐いて、口で吸う」ことです。鼻から吐くことによって、長く息を吐くことができ、鼻に水が入ることも防げます。

1.鼻から「ンー」と息を吐く呼吸法に慣れる

まずはプールサイドで練習です。
口を閉じ、「ンー」と言ってみましょう。鼻から息が出ていることが分かるはずです。次に、長く「ンー」と言ったあとに、口を大きく開け「パッ」と言うと、へこんだお腹が元に戻ります。これで自然に息を吸うことができます。慣れるまで繰り返しやってみましょう。

鼻から「ンー」と息を吐く呼吸法に慣れるの写真

手をつないで一緒に練習

2.力を抜いて、自分のペースで息を吐けるように

慣れてきたら水中で練習です。
補助者と一緒に鼻から息を吐く練習をします。水中でも自分のペースで息を吐けるようになると、身体から力を抜くことができます。一定のペースで「ンー」と言って息を吐けるようになるまで続けましょう。
「ンー、パッ」を連続でできるようになったら、呼吸方法はマスターしたも同然です。

力を抜いて、自分のペースで息を吐けるようにの写真

息を吐いている間は、お腹がへこむ

④ 息継ぎの正しいタイミングをつかもう

※ 動画をチェックし、練習してみよう!

最後に、息継ぎのタイミングをつかむ練習です。
息つぎの向きが左右どちらか分からないときは、お子さんを背後から呼んでみます。自然に振り向いた方で息継ぎをすると、スムーズに回転できる場合が多いです。

1.顔を上げるタイミングとリズムをつかむ

まずは、水中で立って練習します。
手を回しながら顔を上げるタイミングとリズムをつかみます。両手を前方に伸ばします。息継ぎしない側の腕が回っている間に、鼻から息を吐きましょう。次に、息継ぎをする側の腕を回しはじめたら顔を横に向け、「パッ」と言って呼吸します。このとき、伸ばしている腕の肘が伸びていること、耳の後ろが伸びた肘のあたりに付いているか確認しましょう。補助者は「伸びている腕を枕に」と教えてあげると、お子さまはイメージしやすいでしょう。
呼吸が終わったら、先に顔を元の位置に戻して腕を回し、最初の姿勢に戻ります。

顔を上げるタイミングとリズムをつかむの写真

鼻から息を吐く

顔を上げるタイミングとリズムをつかむの写真

手をまわし始めたら顔を横にして息継ぎ

顔を上げるタイミングとリズムをつかむの写真

伸ばしている腕の肘は曲げないこと

顔を上げるタイミングとリズムをつかむの写真

伸びている腕を枕に

2. 腕を回すときに顔を横に向ける

慣れてきたら補助者の太ももの上で練習です。
お子さまを補助者の太ももの上に乗せ、息継ぎ側の腕を回す練習をしましょう。慣れてきたら、息継ぎ側の肩を上げる手助けをし、お子さまが自分で顔を横に向けられるよう練習します。

腕を回すときに顔を横に向けるの写真

息継ぎの腕を回してあげる

3. タイミングよく肩を上げて、呼吸を行う

いよいよ泳ぎながらの練習です。
ビート板を持って、息継ぎをする方だけを回して練習をします。
息継ぎをする時には、伸びている腕を前方に出しながら手で肩を上げてあげましょう。

タイミングよく肩を上げて、呼吸を行うの写真

伸びている腕を前方に引いてあげる出してあげる

タイミングよく肩を上げて、呼吸を行うの写真

手で肩を上げてあげる

「クロールのコツ」おさらい

「クロール」は正しいフォームを身につければ、泳ぐスピード、泳げる距離、見た目の美しさも驚くほど変わってきますので、一つ一つのコツをしっかり身につけましょう。
最後に「クロール」をマスターするための大事なコツのおさらいです。

  1. ① 身体はしっかり伸ばして水平に。バタ足は膝をまげないように。大きく蹴り過ぎないこと。
  2. ② 腕を回すときは、肩を開くイメージで、肩から大きく回しましょう。
  3. ③ 息つぎは水中で「ンー」と鼻から吐いて、「パッ」と口を開いて吸う。
  4. ④ 伸びている腕を枕にするイメージで、腕を回しはじめたら横を向いて息継ぎ。腕が戻るまえに顔をつけます。

正しい姿勢や息つぎの方法は、いろいろな泳ぎに共通するので、クロールの基本をマスターしておくと、他の泳ぎにチャレンジするときにも役立つでしょう。クロールができれば、水泳がきっと楽しくなるはずですよ!

高安選手からのメッセージ

※ お手本動画を見てチェックしよう!