KONAMI J.B.STAR

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KONAMI J.B.STAR 奮闘記 第34回
自身にとっての世界大会とは~2023 World Hip Hop Dance Championshipを終えて~ 後編

7月30日から8月6日にかけて、アメリカで開催された「2023 World Hip Hop Dance Championship」。KONAMI J.B.STARはジュニア部門3位、バーシティ部門4位、メガクルー部門7位と、参加した全ての部門で入賞することができました。大会を終えたメンバーに今の心境を聞きます。
8月はリーダー、副リーダー、ジュニアチームのリーダー3名のコメントを、9月はジュニアの振り付けも担当した前リーダーと、コナミスポーツクラブ ダンシングスターズのディレクターでKONAMI J.B.STARのコーチも担当するTAC氏2名のコメントをお届けします。

前リーダー 依田琉音

―――KONAMI J.B.STARとして最後の世界大会


メガクルー部門に出場

本当は昨年で卒業の年だったんですけど、このメンバーで挑戦したいと思って、本当に最後と決めて挑戦した世界大会でした。昨年はコロナ禍が終わって初のリアル大会で、参加国とか、ダンサーの人数が少なかったんですけど、今年はダンサーだけで3千人近く、お客さんを含めるともっとたくさんの人がいる中パフォーマンスができて、喜んでもらえて、個人的にはたくさんコミュニケーションがとれて、友達も増えた。世界大会が自分の中で大きい存在です。KONAMI J.B.STARを続けられたのも、こういう場があったから続けられたので、今年も意味のある世界大会になったなと思います。
結果に関しては、まず決勝に行けたことがすごいことなので、満足はしていないですけども、すごく頑張ったな、大健闘だったなっていう印象ですね。

―――ジュニアチームの振り付けを担当

日本大会は曲と構成、振り付けを7割くらい担当して、自分も世界大会に出場するってなった時、時間がとれないのでTACコーチに引き継いで、二人三脚で頑張ってきました。
まず曲を決めて、最初はカッコよく、間でハッピーなイメージ、最後はロックで元気にカッコよくと、3段階で決めていって、どんどん曲にイメージをあてはめていった感じです。
曲、振り、構成を同時に進めていくと、前半が作りやすいとか後半が作りやすいとか出てきて、後半ができてくると、そこから逆算で前半を作っていかなければいけない所とかは難しいんですけど、臨機応変になにができる、できないって逆算しつつも変えていきます。
今回初めてのメンバーが6人くらいいるので、実力差もありますし、そこをいかにチームの力でカバーしていくかっていうのが難しいので、メインの技、アクロバットや全員でやる縦一列でシャチ(ダンスのフロア技)をして最後に決めるとか、構成で見せる部分もたくさん作って、踊りだけで見せられない部分もあるので、全員で戦えるような構成にしました。
世界大会になると、国内大会から世界大会の期間で考えるので、「日本大会ではできなかったとしても、世界大会でこの技をやろう」っていうのをまずみんなに伝えて、練習してもらって、そこでやる気がある子は完成させてくる。(完成させてきたら)じゃあやろうっていうように、彼らのやる気次第ではあるので難しいんですけれど、そこが楽しいです。

―――卒業

8~9年このチームにいて、自分の居場所というか、ダンスを知った場所。これからダンサーになりたいって思っているんですけれど、そのきっかけの場所なので、感謝していますし、これからもKONAMI J.B.STARに関わって、TACコーチや水野コーチに恩返しできたらな、と思っています。
大好きです、このチームが。

TACコーチ

―――本大会のメンバーたち

昨年はマスクをするのか、ワクチンはどうなのか、もし陽性者が出たらどうするのかなど、心配がありながらの参加だったので、今年はそれが無かったのが大きかったのと、大会の規模が昨年の倍くらいになっていて、コロナ禍以前に戻った感じがしました。私自身も楽しめたし、昨年参加した子どもは「昨年と違ってすごいね」って体感できたのではないかと思います。

―――子どもだけで参加する理由


世界大会報告会で大会の様子を報告

普段から親離れを早くするように言っていまして。海外では日本より親離れが早いじゃないですか。夏休みになったら小学生はみんなキャンプに行って、1カ月くらい親から離れるのが当たり前なので自立が早い。自分の考えを持って行動したりだとか、自分の行動に責任を持つというのも早いうちにやっていきたいと思っています。世界大会に行ったら当然同じような状況になるので、ホームシックで泣く子どももチームによっては、いるんです。でもKONAMI J.B.STARはそういうのが全くなくて。普段から保護者にも「子離れしてください」ってお願いしています。自分で責任を持って何かをする・・・例えばダンスに行く準備や、衣装を持ってカバンに入れるとか、すべて自分でできるようになって、それがパフォーマンスに生きてくる。すべてがつながっていくような気がしています。
今回最年少の小学4年生のメンバーも大活躍で、技が全部決まったところでお客さんも沸いて。ステージで4年生にして5千人いる観客の前で、自分の技で盛り上がるっていうのを経験させてあげられたのが嬉しい。私もパフォーマーをやっていたので、その楽しさを知っていますから。今回22名全員に味わわせてあげられたのが良かったです。

―――今期のチーム

今大会一番大きかったのが、体調不良者を出さずに元気に常に前向きでいられたことです。今期のチームは常に前向き。何か悪いことが起こっても、「これは良いことが起きるための前兆だから」って。みんなが前向きに考えられるようになってきたかな。
コロナ禍で練習できないとか色々あったので、それを逆手にとってトレーニングをがっつりやって、みんなで集まれるまでに、技を個人で鍛えようってやってきた。そういうのも含めて何か、こう、うまくつながってきたのかなと思います。

―――パフォーマンスのために

レッスン冒頭の基礎トレーニング

基礎トレーニングの重要性
世界大会のレベルがかなり上がっています。自分は2005年から世界大会に出場しているんです。最初はトレーニングをするチームはあまりいなくて、ダンスを楽しむ延長で来ている感じだったんですけれど、日本チームは率先してトレーニングをしていて、それを見て他のチームのコーチが来て、「どんなトレーニングをしているの」って聞いてきて。他のチームも色々なスポーツと同じように、体を作ることは大事だとか、ケアが大事だっていうのが徐々に(広まってきた)。遊びから派生した文化がスポーツになっていくような、いい影響を与えられたかなと。

それぞれの役割
個性を生かすために、小さい子は小さい子の役割、大きい子は大きい子の役割、技が得意な人は技、表現が得意な人は表現、振り付けでも細かさ、マニアックなことができるとか、役割を与えてあげる。誰もが何かしらダンスを通して得意なものがあるので、そこをうまく引き出したい。例えば、野球でいうと全員がホームランバッターではないし、ピッチャーではない。その役割で小学生から大学生までがうまく絡み合ったいい作品になりました。
年齢幅が広いと難しいって、皆さんそう言われるんですけど、自分はむしろそれが楽しいんです。今回はやっていませんが、小さい子どもしかできない特殊な柔軟系の技とか、大きい人しかできない高い空中技とか、それぞれ良さが違うので、お互いにそれをリスペクトできる。
1つの作品を作るのに、年齢も性別も関係ない、ということです。

―――最後に

メンバーたちは、世界大会に立つ、立たないが今後の人生に大きく関わってきます。世界大会への火が消えないよう、今後もこのいい文化を続けていけることを願います。

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    依田 琉音
    Ryuto Yoda

イケダ タク(TAC) 氏

コナミスポーツクラブのダンススクール「ダンシングスターズ」でディレクターを務める。
プロスポーツのオープニングやハーフタイムショーのプロデュース等、国内外で幅広く活躍。
毎年アメリカで行われる「WORLD HIPHOP DANCE CHAMPIONSHIP」では、KONAMI J.B.STARを2010年のジュニア部門、2014年のバーシティ部門で世界一に導いた。

KONAMI J.B.STARについて

コナミスポーツクラブのダンススクール「ダンシングスターズ」の中でも全体の約1%しか入ることのできない選抜チームです。過去2010年と2014年にはHIPHOPダンス大会で世界チャンピオンに輝くなど、日本でも屈指の演技力を持つダンスチームです。

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