スペシャルインタビュー
SPECIAL INTERVIEW

Special Interview

関東ITソフトウェア健康保険組合

データヘルス計画推進課

早いうちから病気に対する意識を持ってもらうことで
生活習慣病を未然に防ぐ

2015年から関東ITソフトウェア健康保険組合加入事業所の若年層の生活習慣病予備群に対し、将来の疾病の発症や重症化の予防を目的とした「生活習慣病予防プログラム」を実施しており、毎年多くの方がコナミスポーツクラブで運動指導を受講されています。
今回、関東ITソフトウェア健康保険組合 健康管理部 データヘルス計画推進課の方々に特別にお時間をいただき、若年層が生活習慣病予防に取り組むことの重要性やこれまでの保健事業の取り組み、これからについて語っていただきました。

Q:データヘルス計画推進課としての活動について、お聞かせください。 関東ITソフトウェア健康保険組合(以下、当組合)データヘルス計画推進課では、当組合員の健康増進・疾病予防について、6年間のデータヘルス計画を立てて、実行していくことが主な業務で、また、健康診断結果から生活習慣病(高血圧や糖尿病など)を未然に防ぐことと、受診が必要な方には、医療機関での受診をご案内する等の事業を行っております。データヘルス計画は健康診断と医療費を分析したうえで、推進しております。

当組合は、39歳以下の若年層の生活習慣病予備群に直接アプローチして将来の疾病の発症や重症化の予防を目的とした生活習慣病予防プログラムを実施しております。
年齢が若いうちから運動習慣を身に付け、健康を維持していただきたいと思っております。また、運動だけでなく、食生活も意識していただくことにより、結果として、年齢を重ねた時にも健康でいられることに繋がると思っております。
<生活習慣病予防プログラム>
https://www.its-kenpo.or.jp/kanri/seikatsu/taisaku/index.html

「糖尿病は万病のもと」と言われておりますので、当組合では医療機関で必要な診察、診断、治療を受けていただくための受診勧奨事業の他、組合直営の保養所や健保会館を利用し、初期の糖尿病の方を対象に糖尿病教育介入プログラムを行い、早いうちから病気に対する意識を持ってもらうことに取り組んでいます。
また、糖尿病性腎症の重症化リスクのある方を対象に、医療機関と連携し一人一人の治療計画を立て、生活指導と糖尿病教育を6ヶ月間提供する糖尿病性腎症重症化予防プログラムを実施しています。
<糖尿病教育介入プログラム・糖尿病性腎症重症化予防プログラム>
https://www.its-kenpo.or.jp/kanri/yobou/jinsyou/guide.html

前期高齢者等に対しては健康寿命の延伸を目的として、訪問健康支援事業を行っています。健康上の不安や生活の悩みを解消するため、専門相談員(管理栄養士や保健師または看護師)がご自宅にお伺いまたはお電話にて、健康に関する情報提供やアドバイスを行っております。
<前期高齢者等保健指導プログラム>
https://www.its-kenpo.or.jp/kanri/zenki.html

健康ポータルサイト「MY HEALTH WEB」では組合員に健康意識を高めてもらうために、健診結果や医療費通知、ジェネリック医薬品差額通知はもとより健診結果に基づいた健康づくりアドバイスなどを発信しています。MY HEALTH WEBでは、年に2回ウォーキングイベントをポータルサイト上で行っております。

コナミスポーツ株式会社にお願いしている運動プログラム(生活習慣病予防プログラム)は、若年層の生活習慣病予備群を重症化させないという意味で非常に重要な位置を占めていると当組合では認識しております。

Q:コナミスポーツクラブの運動プログラム(生活習慣病予防プログラム)を始めるきっかけは? 国が糖尿病に着目し、特定健診と特定保健指導が始まりました。糖尿病は重症化するとかなりの医療費がかかりますので、何らかの施策ができないかと組合内でも議論し、コナミスポーツ株式会社に相談してお願いすることになりました。
糖尿病のコントロールには、食事と運動が重要です。もともとコナミスポーツクラブを法人会員として利用できるベースがあったので、生活習慣病予備群の若年層が運動プログラムをしている間はコナミスポーツクラブのインストラクターの指導を受け、運動プログラム終了後は、法人会員として運動を継続していただきたいと思いました。

Q:コナミスポーツクラブの運動プログラム(生活習慣病予防プログラム)を続けていただいている理由は? コナミスポーツクラブの運動プログラムを受講していただいた方は、そのまま法人会員として利用を続けていただくことが多いです。スポーツクラブに初めていくのは、少し敷居が高いと思われている方が多いと思いますが、組合で用意したプログラムということと、なにより施設の担当者から個人に直接連絡がきて、初回の日程調整をしていただけるので、スポーツクラブに行く敷居がかなり低くなっていると思います。また、担当するインストラクターを1人つけていただき、個別で丁寧に指導していただき、インストラクターと話ができることでさらに利用しやすい環境となり、安心して楽しく続けていただけているのかなと思います。

生活習慣病予防プログラムに関しては、リスクレベルは低いけど、生活習慣病予備群である数値の方に3ヵ月間スポーツクラブに通っていただいた後に、評価検査(簡易健診)を行って、どのような行動変容がおきて、どのようなデータの改善がみられたか、を分析しております。

<直近1年間の生活習慣病予防プログラム完了者実績>
腹囲-2.8cm 体脂肪率-1.2% 体重-1.4kg   ※3か月間で12回のトレーニングを実施

当組合では、色々な検査項目をみておりますが、運動の影響を受けて大きく改善するのが中性脂肪等の血中脂質です。また、体重や血糖値なども下がっている傾向があります。改善したという成功体験があると次のステップに進むことができ、継続して運動を続けていただけるのかなと思います。
このプログラムでは6割以上の方にデータの改善がみられており、評価検査については、医師コメントを入れてフィードバックしております。

Q:新型コロナウイルスの影響により、健診結果は変わってきていますか? 健診結果で言うと、令和2年度のデータ分析をした際に、中性脂肪に関する保健指導対象者の割合は増加しました。問診表では、睡眠が十分とれているという人が増えたり、反対に夜遅い時間に食事を摂るという人が減ったり、1日1時間以上歩くという人が減るという変化がありました。コロナ禍で働き方や生活習慣、ライフスタイルが変わり、その人その人で健康管理が変わってきていると思います。

総合健保としての悩みごとは? 7,000社を超える事業所があるので、リモートワークが進んだ関係上、事業所に案内を送付しても本人に行き届きにくい、または時間が掛かるということもあり、参加者が増加しにくい原因にもなっていると思います。
生活習慣病予防プログラムだけではなくて、それ以外の事業についても、まず案内を本人に送付する必要があり、どうしたら効率よく本人に周知することができるのかが課題で、これはリモートワークが始まる以前からの大きな課題ではあります。また、組合員の約8割が関東圏に住んでいて、残りの組合員は地方に住んでいる方なので、全被保険者に公平に事業を案内するという観点でいえば、地方に住んでいる方への案内についても、課題の1つと捉えています。

Q:今後、コナミスポーツに期待することは? 各地にコナミスポーツクラブを運営されていますが、施設での運動プログラムの提供に加えて、全国の組合員が同様のプログラムを体験できるよう、オンラインなど新たなご提案をしていただけたらと思います。