「アヌビス」レジンキット原型師:浅井真紀氏インタビュー 第1回




浅井: 顔だけ造ってたんですけど、どうせだし身体も付けようかなぁって。昨日の晩、不意に思って…折角なんで。

-鞄からノウマンレリーフ(右写真)を取り出す浅井氏

うぉスゲェ…いいんですか?

浅井: なんかひとつ仕事が終わると、関係者用のとか、記念になるものを造るのが好きなんで…

村田: あっ!うれしすぎる、それは。

これは…凄いなぁ…

村田: これはどれ位(の時間が)かかりました?

浅井: 顔が形にするのが2時間位で、でも暫くして気が付いたらイジるという感じだったので…固めるまでは2日間位置いといたんですね。身体は…今朝の5時位から造り始めて(笑)

-ここでキャラクター原案の【政尾】が登場。

 浅井さんから、お土産です。

政尾: うはっ!スゲェ…

一同: (笑)


『ノウマン』レリーフ

浅井氏が急遽用意してくださったサプライズ。
そのクオリティに「キャラクター原案」政尾氏も舌を巻いた。



造形師 浅井真紀

今回のアヌビスレジンキットの造形師。
『アヌビス』に対する情熱は、並々ならぬものである。
政尾: …凄いリアルだなぁ。

新川: リアルって、どういう意味?(笑)

政尾: いやぁ、アニメより立体的…

浅井: これは2個目なんですけど、前に造っていたやつは目がギョロッと出た表情のやつだったんです。造っている分には凄い面白かったんですけど、でも実際には目がギョロって剥いているシーンって少ないじゃないですか。友達に見せたら「誰だかわかんない」って。それでちゃんと『アヌビス』っぽくしようって事で…。

増やすのって、簡単なんですか?

浅井: 複製ですか? 普通に出来ますよ。

村田: 増やすって…ワカメじゃないんだから(笑)

浅井: 日常的に型を取る作業があるんで、その時に一緒に流して。

是非お願いします!



それでは始めさせていただきます。
では、まず浅井さんの「アヌビス」…ゲームのほうの感想を…


浅井: 僕はちょっと嫌な癖があって、ゲームとかやるじゃないですか。そうすると「俺だったらここはこうするなぁ」って、企画書を書き直すんですよ。

そんな事をされるんですか!?

浅井: モノを考え直すときに、素で考えていると思い浮かばないんですけど、例えば、人と会話をしていると調子に乗って話を膨らます事ってあるじゃないですか。嘘つきますよね?
 色々と言い繕って喋り続けていると、適当だったネタがだんだんまとまってきて、さもそうであったかのようになることが多いんですよ。近場に嘘つきが多いもので(笑)
 それを、会話じゃ無くて、一人でまとめ上げる方法にしたのが企画書を作るっていうやり方なんです。一種の独り言なんですけど。 で、今回のお仕事を引き受けるにあたって前作の「Z.O.E」を遊んで「あぁ、面白い面白い」ってなった後に、やっぱり企画書を書いたんですね。「俺ならこうするなぁ」っていう…それがことごとく『アヌビス』に盛り込まれていたので「ひゃっほーう」っと(笑)

おお!

浅井: で、ましてやアヌビス本編を遊ばしていただく前に、今回の企画に参加させていただいたので気分的に、もう中に入っている部分があったんです。
 そこにきて自分のこうだったらいいなっていうゲームがあったので、かなりニヤニヤしながら遊んでました。

村田: もう、すごいありがたいですね。(笑)


メカニックデザイン 新川洋司
『アヌビス』における全てのメカはこの人から産み落とされた。


『アヌビス』監督 村田周陽
『アヌビス』の全てを把握する、創造主。





浅井: 以前村田さんのインタビュー拝見したんですけど、『劇場版』っていうキーワードがあったじゃないですか?
 それが凄く肌で感じられたんですよ。

村田: あぁ!嬉しいですねぇ。
 なかなか伝わらない場合が多いんですよ。

浅井: ジェットコースタームービーって以前から仰っていたじゃないですか?
 僕自身、最近はゲームをやるのがかったるいって思うことが多いんですけど、「アヌビス」は一本のストーリーだけど細かく分割して見ていくと面クリア型のゲームじゃないですか?
 何本かクリアすることがストーリーになっていく…。
 だから遊んでいて飽きないし、かったるくなる前にお話が進むというのが、遊んでて疲れることも飽きることも無かったんですよ。

村田: ありがとうございます。

浅井: (東京ゲームショーの)ムービーを一番最初に見て、「このゲームになんとか関わりたい」って思ってたんです。だから関わる事ができて、実際に面白かったらこれ以上幸せなことはないじゃないですか。「ブラボー!」って(笑)
 確か、初めてゲームを遊んでから吉冨さん(ラインプロデューサー)にお送りしたメールの出だしが「グッジョブ!」って書いた記憶があります。 お前何様だよっていう(笑)

村田: 働いているとなかなか時間ができないじゃないですか?
 そうするとゲームを一本楽しもうと思っても何十時間とか拘束されてしまうので一気にカッと遊んで、何度遊んでも気持ちが良いというのが目指していた所なんです。

浅井: 難しいゲームを楽しむのって、ゲームを楽しむまでに凄く時間がかかるじゃないですか?それこそ「楽しもう」っていう気分を意識的に持っていないといけなくて…
 最近の僕の場合、この敵を如何に攻略するかって考える面白さよりも、敵はそこそこ簡単に倒せて、爆炎の中から姿をあらわす自分の姿にプレイヤーが「ク~、俺ってカッコいい」っていう盛り上がりを感じるほうが楽しいなあって。そういうのありません?

村田: えぇ。



浅井: その先に「いや、俺はチョットハンパじゃないぜ!」っていう自分をさらに実感させる為にテクニックを磨こうとか思うようになる。
 格闘ゲームとかそうだと思うんですが、一番最初に出来ない人はそれ以上深くは入ってこないじゃないですか、それが何かのきっかけで遊べるようになってきて、「あ、楽しいや!」と思い始める。その内ゲーセンなんかで、大道芸の感覚に近い行為なんだけど「この勝ち方で勝ったらギャラリー大喜び!」ってなって初めて感じる盛り上がり方ってありますよね?
 何かしら物創りをしているヒトって芸人なとこがあると思うんですよ。
ウケたくてやっているとこってあるじゃないですか?

村田: あります。

浅井: 「好き故にやってます」みたいなところって、どうしてもアマチュアのうちとかは比重を置きがちなんですけど、実際に人にウケる事を経験すると…「喜ばしてナンボだ」っていう…

村田: 与えるほうになっている…

浅井: 自分自身がコアなプレイヤーだったら別なんですけど、仕事としてやっているいじょうはコアなプレイヤーって続けられないじゃないですか。視界を広げざるをえない。 そうすると敷居を下げていく必要性を考えるようになる。そうなっていくとエンターテインメントの形って1つになっていくと思うんですよ。それはゲームでも、漫画でも、映画なんかにしても。
 映画ってほとんどが二時間前後のフォーマットで、一時間とか三時間の映画ってあんまり無いですよね? 二時間で物語を一本語るっていう手法はエンタテインメントとしてある程度完成された形だと思うんです。
 昔は、短いのも逆に長い映画も沢山あったと思うんです。ただ皆が心地よく楽しめる時間が二時間位で、その中で起承転結を盛り込むっていう考え方、こう始まって、ここで一回驚いて、ここで盛り上がって、っていうタイミングが出来てきたんだと思うんですよ。 それがパターン化してしまうとダメなんですけれども、ツボがそこにあるっていうのを認識した上で、一本のエンタテイメント作品を造ろうって考え方は正しいと思うんです。劇場版っていう捉え方は沢山あると思うんですけど、「心地よく楽しめる時間」っていうのが「映画」だとするならば、『アヌビス』は間違いなく「映画」だと思うんですよね!

村田: 誉め上手!(笑)

浅井: 今のが「その場で言い繕いながら、まるで昔から考えてきたように物を言うスキル」なわけですが。

一同: (笑)









話題をちょっと変えますが、浅井さんは、何故立体の道に?

浅井: 実は僕、絵が描けないんですよ。

村田: えっ!そうなんですか!? (立体を作るのとは)やっぱり別物なんですかね?

浅井: 絵が描けないというか、スキルとしてデッサンをとる事は不可能ではないんです。
 例えばリアルな男性の顔を描いてくれとか、人間の骨格をちゃんと現してくれっていうと描けるんですけど、それは記号を憶えているから、学んだから描けるだけなんですね。
 でも、可愛いく女の子を描いてって言われると、女の子は描けても「可愛い」という観念が上手く表せないとか、デフォルメをやってくれと言われても出来ないとか、そういう多様性がまったくないんですよ。

村田: あっ、そうかそうか。 そこは確かに別の感性ですもんね。

浅井: 図は書けても、絵は描けないという。

村田: なるほど。

浅井: だから模型に転んだというか、立体に走ったというのはそこがあって、絵だとどうしても一発でおこす能力って必要じゃないですか。 盛ったり削ったり付けたり貼ったりってことを繰り返すのが模型にはありますんで、そこのスキルの弱さをフォローできる場ではあったんです。僕はそれがあって立体の方に行ったのかなっていう気がするんですけど…
 でも一発で表せないということがやっぱりコンプレックスとして忘れられなくて、それが如何に粘土で一発で出来るか、というのにこだわるようになっちゃったんですね。
 その…絵が描けない…絵が描けないから立体を造る…だけど絵が描けない事が悔しいと思っているから、立体で絵を描くような事をしようとする。 それが曲がりくねったやり方で…この「ノウマン」みたいなスキルになっちゃうんですね。盛った貼ったはしない、一発で粘土で決めてやる!って… でもそれをやるんだったらハナっから絵でやっておけよ、ていう順序なんですけど…。

新川: (笑)



浅井: だから細かく切った貼ったして何度も調整してっていう造り物って、正直「やってらんない」って思ってましたから… そういう意味では「アヌビス」を今回造る事自体が、僕のスキルのあり方からすると異例で、話を受けた段階で頭の中でサイレンがばんばん鳴ってました。 「ヤバイ、ヤバイ。お前、何を引き受けてるんだ」って(笑)

新川: あれ(アヌビス)は一発で抜けないからなぁ…

浅井: だから今回は確認にポリゴン(ゲーム用ポリゴンモデル)を使ったのが凄く重要で、画面上で何度も観る事で、切った貼ったでバランスを確かめるという行為が最小限にまで減らせたんですよ。それで最後まで投げ出さずに出来たっていうのがありますね。

村田: 今回のアヌビスってかなりコツコツ系だったじゃないですか。浅井さんもそういうのが苦にならないタイプだと思ってました。

浅井: いや、飽きっぽくてどうしようもないですね…
 彫るのも面倒くさいから、やわらかい粘土でって感じですね。 できれば頭の中で考えて、フニャフニャフニャって出来て終わったらそれで良し。っていうタイプです。

村田: そうなんですか?

浅井: 多分今回の企画もいわゆるロボット系のデザインだったら僕出来なかったと思うんですよ。ガンダム系のデザインだと同じ作業が続きますよね? 四角の形を何度も造ってる感じで、飽きちゃう。でも、新川さんのデザインってそういう部分が無いんで、例えば腕造るんだったら、腕を造るなりの面白い部分があるし、今日は脚を造ろう…じゃあここは面白いから、最後に食べるデザートみたいに残しつつとか…(笑)







村田: 確かにどこかで捕まえたからって安心できないですよね、アヌビスって。

浅井: そうですね、やってて楽しかったんですよ。
 普通、監修であるとか、チェックであるとか、そういうのがあるとやっぱり造っている内にどんどん嫌になったり面倒臭くなったりしてくる事が多いんです。ましてや、相手の言ってる事が解らない。あるいは解らないではないけれど、それやると自分の美意識的に「カッコ悪くなんないか?」っていうぶつかり合いっていうのがどうしてもあるじゃないですか。
 それが、一番最初に新川さんのイラストを頭の中に入れて、恐らくこうなんだろうっていうって思い描いた形の中から崩れなかったんですね、新川さんの仰る事っていうのが。
 もっとこの方が良いって言われた事が、「あぁなるほど、確かにそれは…」っていう部分であったり、「考えてなかったけどやってみたら面白そうだ。」っていう部分であったりしたんで、監修自体がちょっと楽しみだったんですよ。それがまず僕的には珍しい経験でしたし…

村田: あぁ…

浅井: だからコツコツやってひとつの形になったというよりは、粘土を捻って「面白い、面白い!」ってやっている行為が積み重なって『アヌビス』になっている。ていうところがあります。

村田: いい仕事ですねぇ~、それ。

新川: (笑)

浅井: 面白かったですよ。 だから終わった後は、正直、2ヶ月とか3ヶ月というロングスパンで関わる事があんまり無いので、その反動もあって「もう十年はロボット造らない!」って言ってたんですけど…しばらくたった今は、それこそ仕事中のBGVで「OVA版」とか「TV版」とかを流してて、「イドロはやってもいいなぁ」とか。「いや、それは関係者には言わないほうが良いだろう!また辛くなる」って(笑)

新川: あはははっ!イドロの方がもっと人間的だから…。



浅井: そうですね。…ただ、やってて思ったのは、TV版のメカデザインって新川さんじゃないですよね?

新川: あれは違いますね。
 基本的なコンセプトってのは上げたんですけど、OVAの方はかなりトレースして貰って、でTV版の方は恐らく監督さんの意向がかなり強かったみたいです。

浅井: あの…作画見ててもそうですし、ディティールは勿論の事なんですけど…例えばですね、デザインの通りにディティールとかスジを彫ったりしますよね?

新川:うん。

浅井: 裏側であるとか、見えない部分をこっち側で適当にそれっぽいディティールを彫ろうとするじゃないですか?それがどうしても新川さんのタイミングにはならなくて、彫っても気持ち悪いんですね。これは、それっぽくやってるだけで、実際には俺がやり易い形になっているだなって。他のディティールに比べて浮いてしまう。どうしても違うという違和感があるんですね。
 で、ポリゴンは勿論そのままトレースですから、アヌビスの画面は見ていても気にならないんですよ。その、筆で描いた絵と呼吸に差が無い。TV版が悪いとか良いとかという事ではないんですけど、アヌビスを造るという経験を踏まえた後に見たときに、頭の中に入ってるオービタルフレームではないんですよ。TV版は。新川さんのタイミングとは違うんですね。デザインが違うっていうかタイミングが違うんですよ。
 解り易い部分でのオービタルフレームの記号は入ってるんです、でも新川さんのオービタルフレームじゃないんですね。で、何でだろうって思って見ていると、例えばアヌビスにしろジェフティにしろ、新川さんのメカデザインが、僕ので私見すけど、凄く「人間」なんですね。
 まずヒトの形があって、ただ特定の部分でボコっとそのバランスが外してあるんですよ。それが独特の気持ち悪さになってると思うんです。アヌビスの背中とかエグれてますよね?ロボットですから、背中がエグれてても空洞になってても、モノだから気持ち悪くは無いはずなんですけど、それがヒトだと、穴が開いていると気持ちが悪いじゃないですか。
 中に人間の形が入っているなっていう印象があるんで、エグれていると違和感を感じるんですね。足首が無いっていう部分も、ヒトだって考えると、足首を伸ばしたポーズが前提になっているのか、足首を切っているのかを考える必要が出てくる。それがまたオービタルフレーム独特のバランスになってくるなと。
 ただ単に首の長いロボットって他にもありますけど、人間からクビ1個外したモノは…異質なモノとして捕らえられますよね?そうなるとLEVはロボットなんですけど…もちろんLEVも装甲外すと中に布を着てたりしますから、人間的な素養はあるんですけど、でも並べた時に「あっ、LEVはロボットでオービタルフレームは人間なんだ」っていう印象が凄くあったんですよ。









村田: 伝統的なデザインの差みたいなのがあるんですかね?差っていうかその…違いっていうか…

新川: 何とのですか?

村田: アニメ業界というか、ロボットアニメを造ってきた人たちのデザイン…タイミングってさっきおっしゃいましたけど…人間寄りを意識したりとかってされましたか?

新川: それは逆…なんだけれども、モデリング担当の小林君。 彼が一番最初のZ.O.Eの時に、「ジェフティをモデリングしました」ってこう持ってきた。 それがヒトの形だった。
 普通に見たらこっちの方が受け入れやすいというか、自然に入れるヒトの形と、ヒトの関節と、そのタイミングであったんだけれども… 「そうじゃないじゃん」って、比べて見てもらって、「全然こう肩がグワッ外れていたり、クビがもっと長かったりとかするじゃない?」っていう風に…
 僕の意図は最初からそっちだったからさっき浅井さんが仰った、「ヒトっぽい」っていうのとは逆なんだよね。 ヒトからどれだけ形を外して、気持ち悪く持っていけるかという…

浅井: 多分アレだと思うんですよ。 デザインの方向としてヒトであるのかそうでないのか、という事ではなくて、新川さんの描く絵自体の根っこにヒトがあるのかどうか?という事ではないのかなって気がするんです。

村田: 今確かに話を聞いていたら、ヒトありきでそこからどれだけ崩すのかという…

新川: うん。まぁ、そうですね。



浅井: 他のメカデザイン…良し悪しではなくて、見ていて気になるなって思うのは、多分この人…このメカデザイナーさんは人間の絵が描けないんだろうなって思うことが多くて。人型の認識が曖昧なままで描かれいているメカデザインっていうのは、ヒトの形という前提がないんで、外れているっていう気持ち悪さも無いんですよ。
 で、オービタルフレームが気持ち悪いって思ったのは、ヒトから外れているんですね。ヒトから外れているっていう事は、まずヒトがあるからなんですよ。ガンダムって別に気持ち悪いっとは思わないじゃないですか? それはハナっから中にヒトが入っているというイメージ…あるいはヒト型であるっていう認識すら無くなっているからだと思うんですよ。
 リアルな造形の人形を見て感じるような気持ち悪さって…人形ってヒトの形を模していますけど、ヒトじゃないから気持ち悪いんですよね。ヒトからどこかが外れているから気持ちが悪い。 でもガンダムって全然気持ち悪く思わないですよね。
 あれって腕は2本あるし、脚は2本あるんですけど、人型ではないと思うんですよ。

村田: あ、なるほど。確かに。 僕もメカデザインの人がキャラクターデザインをやっているのダメなんですよ。
 そういうところだったんですかね?そういわれてみると…

浅井: 常識があって、その常識が崩れるとそこに気持ち悪さって生じるじゃないですか。オービタルフレームに感じたものっていうのもその気持ち悪さだったんですね。だから、小林さんがジェフティをモデリングされて、「ヒトだから、これは違うんじゃないか?」っていう話があったというのはデザイン論としてはすごく解るんですよ。
 例えばネイトとかって腕の関節が変じゃないですか、ここ(前腕)でバキッて曲がりますよね?ラプターぐらいまで崩れちゃっているものだとああなっていても普通に「へぇ~」って終わっちゃうと思うんです。
 でもネイトはアヌビスに比べるとオーソドックスなバランスじゃないですか。ましてや、新川さんの描かれる人間ってのは、アニメであるとか漫画であるとかデフォルメの、記号の上に乗っかった絵じゃないから、例えば膝から下がすごく短いと。でもそれはアニメと比べると短いんですけど、人間の足の長さとしてはすごく適切なんです。で、そのバランスでネイトが存在していて、その中で腕がパキッて曲がる。明らかにヒトじゃない関節が入っている…あぁ、オービタルフレームだなぁっ…て。(笑)

村田: 浅井さんは最初に、久しぶりにロボットをやるっていう不安感みたいな事をおっしゃっていたじゃないですか? むしろそのロボット畑の人じゃない方に造ってもらえたのが良かったんですかね。

浅井: あの…多分オービタルフレームじゃなかったら、引き受けなかったと思います。

村田: やっぱ、やれそう…これならいけそうみたいな…









浅井: やれそうというよりも、やってみたいなっていう感じですね…失敗したらしたでっていう…。正直言うと今の話っていうのも造りながら気付いていった部分がほとんどですし、それこそ造り終えてから気付いた部分も多くて…
 今回造った『アヌビス』っていうのは、これ以上手をかけても「もう変わらないな」とは思うので、このベクトルで進める限りは完成したとは思っているんですけど、今、ゼロから『アヌビス』を造るとまた違うなぁとは思うんですよ。

村田: それはそうでしょうね。

浅井: 経験値というよりも、見方が変わってしまったので。
 今回のアヌビスがオービタルフレームってどういうものか、という模索をしながら解答を生み出すまでの物語だったとするなら、次回はオービタルフレームはこうであるという前提を含めた上で…今回は新川さんの意図をどうやって読み取るか、新川さんの線をどうやって読み取っていくかという作業だったんで…仮にこの後があったら、オービタルフレームってどういうもんなんでしょうねっていう問答に入っていくんだろうなっていう…
 うん、今造ると全然違う気がします。

新川: 確かに小林君もZ.O.Eの時と今回で、僕が前に突っ込んだ部分っていうのは突っ込まなくてもすんなりモデリング出来てたみたいだし、意図も伝わり易かったから…一回経験してもらわないと解らない部分って多いかもしれないね。

村田: 経験して一度完結しなければいけないんでしょうね。で、また再スタートっていうと変わるんでしょうね。

浅井: …奥が深いなぁって思ったのは、オービタルフレームって「うんうん、あんなロボットでしょ」っていうやりとりをするための解りやすい記号って結構あるじゃないですか。足首が無いとか、股間にコクピットがあるとか。
 そういった記号自体は多いんですけど、重要なのはその…勿論そこも重要なんですけど、デザインとしては。
 でも造っていて、あっ、次造ったら変わるなっていう部分は、じつはそこではなくて、その解りやすい部分に繋がるまでの箇所、至るまでの過程なんだろうなっていう気がしますね。

……どうですか?

村田&新川: まさに、そうですね!(笑)

浅井: 今、僕の中では…「よし!適当に言ったけど、なんとかなったぞ!」(爆)

一同: (爆)



-第2回へ続く…



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