第1回 ZOEメカデザイン全般について




新川さんが担当されている、メカデザインとはいったいどんなことをされているのでしょうか?

新川:そうですね…結局、全部を1枚の紙に描ければいいんですけど、なかなかニュアンスの伝わらない部分があるんで。まあ、先に(イラストやスケッチで)イメージは伝えて、細かいところはモデラーの隣に座って直接指示を出すというスタンスでずっとやってますけど。

新川さんの仕事の流れというのは、初期の企画段階では設定を描かれるというところからでしょうか?

新川:そうですね。今回は前作のイメージを踏襲して流れているんで、基本のラインっていうのを作るところでは別に悩むということは無かったし、前作の段階で描き溜めていたスケッチが何点かあったのでそこからの流用とか発展系といった雰囲気でデザインしていった物もあるんで。
村田ディレクターの方からは最初にゲームの流れとこういうボスが出ます。という大枠があって、それをもらって、ディレクターに絵を見てもらって、これをこんな感じで使おうといった流れだったと思います。

メカニックデザイン 新川洋司

代表作
「METAL GEAR SOLID シリーズ」
「ZONE OF THE ENDERS シリーズ」



これが開発初期の実験段階のジェフティ


独特の質感を持つシェード。
開発期間中、更に磨きがかけられる
メカといえばメタルギアシリーズにも色々と出てきますが、メタルギアシリーズとのメカにおけるコンセプトの違いというのはあるんでしょうか?

新川:敵メカに関してはボス・ザコ共に根本的なコンセプトは変わりは無いんだけれども、主人公機ということでちょっと変わってきて、プレイヤーが動かして、でそれに対するリアクションがちゃんと帰ってくるという、ゲームならではのデザインっていうのがそれなんですけれど。
敵で勝手に動いてくれる分には色んな楽しいギミックが盛り込まれていて、それが世界観とゲームとデザインが融合していればいいけど、プレイヤーキャラはそこに自分が、プレイして、動かして、面白い部分を盛り込みたいと。
さらに、今回はアニメっぽいという部分が加わっていて、色味とかポリゴンの表現方法が前作と全然違い、いくらか規制も増えているけれどモデラーさんがうまくやってくれて、見た目でアニメっぽさというのは前作よりは出ています。
純粋なトゥーンシェードではなくて、かなり面白い質感になっています。
…最初はどうなんだろう?って思ったんだけど、作っていくうちに良くなっていきました。

今回、アニメ風の表現で苦労した点があればお聞かせいただけますか。

新川:苦労した点というと、一番最初のどっちの方向に進むべきなのかなぁという、企画初期の段階のところ。
最初はもっと輪郭線がはっきりした、見た目が2Dのベタ絵みたいな感じだったんだけど、幾つもテストモデルを作ってもらって、その中からチョイスして煮詰めていったという…ココに関しては僕じゃなくてモデル担当のコが苦労してるんだけど(笑)、まぁ、そこの決断が1つの山でした。


逆に楽しめた点があればお聞かせください。

新川:水谷デモ監督が最初推してた、「色で遊びましょう」みたいな部分があって、リアルな世界を描くメタルギアだとオレンジとか真っ青とか使えないけど、ZOEの場合だったらいろんな色をのせて大胆に遊べるというとこかな。

オービタルフレームの大きな特徴に流動ラインと、足先のシルエットがあります。
これらのアイデアはどこから生まれたんでしょうか?


新川:シルエットは学生のときに描いたスケッチを見せたら「これでいいやん。」ということになって(笑)。
エネルギーラインはその当時のスケッチでは影の表現のひとつとして描いてあってもので、それを小林君(モデル担当)と話して「これ、溝にしよう」「それじゃあ、光らせよう」っていうふうにモデル作りながら、話をしながら生まれたと。 実際にゲームに組み込むと、ダメージの状態を知らせてくれるという物になりましたけど。
結局、最終的にはつじつまを合わせて面白いモノにしていくかという部分で生まれたのかなぁと思います。

エネルギーラインはプレイヤーが何をしなくても動きが生まれるので、面白いですよね

新川:(プレイヤーが何をしなくても動くという意味で)わざとらしく息をしているロボットがあるけどそういうのは、あんまり好きじゃないんです(笑)。 「何でロボット息してんの?」って(爆)。 その代わりに動力系が動いてオイルが体に廻っている、そんな雰囲気を出す意図もエネルギーラインにはあります…

ゲーム中のジェフティはふわふわ動いていませんでしたっけ?

新川:ジェフティもこう何かフワフワしているけど(笑)デザイン的にちょっと生物っぽいので動いているのが自然なのかなぁという気もする(笑)。

股間のコクピットも印象的です。このアイデアはどこから?

新川:これも学生時代のスケッチから描いていてそのまま持ってきた部分です。 OFの特徴ですな、コックにあるからコックピット。飛行形態では跳ね上がって丁度進行方向を向くようになります。

メカニックデザイン秘蔵資料公開!
新川洋司学生時代のスケッチ。
足先のシルエット、コクピットに注目。


メカニックデザイン秘蔵資料公開!
ジェフティの飛行形態。



ブリッジ(?)で走行する新型機


今回はラプターが飛行形態を見せる!?
飛行形態の話が出ましたが、今回ムービーの中で変形するヤツが幾つかありましたが、坂を火花出しながら下りていくやつが印象に残りました。

新川:あれは新型ちゃんです。変形しているわけではなくて、ブリッジして走っているという…ちょっとしたエクソシスト状態。
ラプターについては今回、飛行形態があります。(担当:E3映像にも収録されてます)
前作のときにジェフティが飛行形態で飛んでいくところにラプターもいたら楽しいだろうなぁ…というか、ステージ移動のところで飛行形態ラプターが出てきて、ジェフティと戦うという話があって、変形モーションとエフェクトまで作ったんだけれど、結局お蔵入りになってしまいました。今回も、まだ出てないけど…
出るのかな?(笑)

他にも新型機が幾つかムービーの中で登場していました。頭がデカイのもいましたね。

新川:これもラプターシリーズになるんだけれども装甲の厚い、強化型のラプターです。

メタルのインタビューにも出てきた新川さんこだわりの、パワードスーツを着たメカが出てくるということですね。

新川:バースト攻撃とか強力な攻撃だと一撃で破壊できるんだけれども、威力の弱い武器でトドメをさすと装甲を捨ててラプターが出てくるというそんなギミックです。そのギミックはまだゲームで見てないけど… きっと出ます(笑)。


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