ああ、大変！
早くアリスの誕生日会場の準備をしないと！
やっぱり、会場の飾り付けは誰かに手伝ってもらうべきだったかしら…
でも、料理を用意してくれてるノワールとルビーには頼めないし…
それにフロストは予定があって遅れるから
先にアリスと始めてて、って言ってたし
お願いできなかったのよね…
いえ…
アリスのためだもの！
ここは私一人でだってやらなくちゃいけないわ！
そうだわ！
こんなときこそ使い魔を召喚すればいいんだわ！
高いところの飾り付けは
サラマンダーと死神に任せて…
けれどもミノタウロス…
あの子には何を頼めばいいのかしら…？
あの子って見かけ通りに不器用だからあまり細かい作業は頼めないわよね…
あら？ それで言ったら死神にやれることってあるのかしら…？
それにサラマンダーもサイズ的には細かいことは結局無理かしら…？
ああ見えて大きいのよね、あの子…
ま、まぁそれでも？
きっと手伝ってもらった方が良いわよね…
ともかく召喚しましょうか
えっと…誰を呼ぼうかしら？
呼び出す子をしっかりとイメージをしないと…
はぁぁぁぁ………いでよ！
ほえっ？
ええっ！？
アリスっ！？
んー？ローズ？
あれ？ なんでローズ？
ご、ごめんなさいアリス！
とっとにかく服を！
いったん私の部屋へいきましょう！
しばらくお待ちください
ふぅ、着替え終わったわね
では改めて…
アリス、いらっしゃい
うん！
おじゃまします！
いやーびっくりしたよ～
急にローズに召喚されちゃうなんて
今日はお誕生日会をしてくれるのかな？
って予想はしてたけど、こんな呼ばれ方をするとは思わなかったよ
サプライズってやつ？
え、ええ…
サプライズ成功、ってヤツね？
（召喚魔法に失敗しただなんて言えないわ…）
それで、ローズの家にお呼ばれする前に
準備しておこうと思ってお風呂に入ってたんだ★
そ、そうなのね
少し早かったかしら？
（あ、危なかった…もう少し早かったら大変なことになってたわね…）
早くローズに会いたいな♪
約束の時間はまーだかなー♪
って思ってたからへーきだよ★
ううっ…
アリスの笑顔が眩しい…
（これ以上アリスに嘘はつけないわね…）
んん？ローズどうしたの？
うぅ…ごめんなさいアリス…
実は貴女のことを少し早く呼んでしまったの…
それこそ約束通りの時間に来てもらうつもりだったわ…
そうなの？
じゃあなんで早く呼ばれたの？
ごにょごにょ…
…しちゃったのよ…
え？なになに？
召喚魔法に…！
失敗して間違ってアリスを…召喚しちゃったのよ！
にゃははー…そうだったんだぁ
珍しいね？ ローズが魔法失敗するの
うっ…
そ、そうね…
こんな失敗は久しぶりだわ…
あっ！そういえば昔にもこんなことあったよね！
おうちでプリンを食べてたら急にローズに召喚されちゃったこと！
あの時もびっくりしたなー
ああ、そんなこともあったわね、懐かしいわ
あのとき以来ね、こんな失敗…
なんで失敗したんだろうね？
しっかり相手の顔を思い浮かべた？
召喚魔法ってイメージが大事だからね！
わたしだったらは名前も一緒に呼んじゃうかな、
「ドラキュラ―！」って感じに
ああ、それで失敗したのね…
さっきは誰を呼び出せば良いか決めきれないままに
慌てて召喚しようとしてしまったから…
そっかぁ～
それで、誰を呼ぼうとしてたの？
ああ、さっきまでいた会場の準備を手伝ってもらうのに
死神かサラマンダー、ミノタウロスの誰かを呼ぼうと思ったのよ
けど、結局誰に来てもらうのか決めきれなくって
なのにわたしが呼ばれちゃったの？
その感じだったら３人とも一緒に呼ばれちゃいそうだよね？
みんな揃ってどーんって
常に私の頭の中はアリスでいっぱいだからよ！
だなんて、流石に恥ずかしくて言えないわ…
あ！そっか！
わたしの誕生日の準備中だったから、
きっとわたしのことをいっぱい考えててくれたんだね！
嬉しいな★
！ええ！
常に私の頭の中はアリスでいっぱいよ！
なーにバカなこと言ってんのよ？
えっ！？
ふ、フロスト！？
急にびっくりするわね…
あっ
フロスト！
いつの間に来てたの？
ついさっきよ
ローズが
「常に私の頭の中はアリスでいっぱいだからよ！」とかなんとか
力説してたあたりね
ちょっとフロスト！？
なんで私の心の声が…！？
いや、あんた声に出てたわよ？！
うぐっ…
そ！れ！に！
そこに飾ってある『そんなの』を見れば
あんたの頭の中はアリスでいっぱいだなんて
誰にでもわかるわよ！
わ～！
わたしの写真がいっぱいだぁ！
こないだローズが言ってたコレクションだね！
ええ
良い写真ばかりでしょう？
うん！
「にぎやか～」って感じがするね！
ローズもこの並べ方好きなの？
アリスがこういう並べ方が好きだっていうから…
でも、ローズのところが重なっちゃってる写真が多いね？
せっかく２人で写ってるのに…
い、いいのよ！
これは『アリスコレクション』なんだから、
アリスがしっかり写っているからいいの！
そっかなー？
でもでも、こうして見てると
なんだかとっても懐かしい感じがするね
ええ、そうね
これまでのことを色々と思い出すわ…
ま、『つい最近』の写真も混ざってるみたいだけどね？
ああ、そういえばフロスト
貴女どうしてここに？
ああ
あんたたちが来ないから迎えにきたのよ
さっき会場に着いたんだけど、
お姉ちゃんとルビーしかいなくって
ああそうね、ごめんなさい
会場を空けたままだったわね
準備も終わってなかったのに…
会場の準備ならお姉ちゃんとルビーが終わらせてたわよ
フロストも手伝ってくれたよねっ♪！
ルビー！
あっノワールも
予定通り、フロストは早く会場入りして準備を手伝ってくれた…
ちょっ！？お姉ちゃん！？
ばらさないでよ！
あら？フロストは今日は予定があって遅れるって言ってたわよね？
ふふっ
しーっかり準備してたよー
フロストが来る前にローズを会場準備から離脱させる方法だけが
心配だったけど、うまくいった…
っ！？
まさか私の召喚魔法が失敗したのもノワールたちが何かを仕掛けていたの！？
してない…
あれは100％天然よ
勝手にアリスと２人になってくれて
手間が省けたわ♪
フロストの氷の檻でローズだけ隔離する案や、
セシルさんに協力してもらって
ローズをアリスの家に強制転移させる案もあった…
けれどもそれらは危険を伴うから回避出来て良かった…
ルルに頼んで魔界にすっ飛ばす、って案もあったわね
ちょっと魔力が足りないかな～？
って言って断られちゃったけど
そ、そんな恐ろしいことを目論んでいたのね…
いつもローズはアリスの誕生日となるとはりきり過ぎちゃうから、
今年はゆっくりアリスの相手をしてもらっておいて、
私たち３人でパーティーの準備をしようって話してたの
作戦成功…
でも、なんでわざわざこんなことを？
私もアリスの誕生日の準備には余念を許さず取り組みたいのだけれど…
だ！か！ら！
それよそれ！
その「余念」ってヤツよ！
ちょっとは余裕も残しときなさいよ…
アリスの誕生日の準備に集中しすぎちゃうからね…
この時期はあんまりローズに相手してもらえないって
アリス、寂しそうにしてるんだよ？
にゃっははー…
バレてたか…
この時期はいつもローズが忙しそうにするからちょっと寂しかったんだよね
「アリスのために」
って言ってアリスを寂しがらせるなんて
本末転倒じゃないの…
うぅっ…
これは素直に反省ね…
でもでも！
誕生日当日になったらローズは誰よりも
お祝いしてくれるし！
とっても嬉しいし全然気にしてなかったよ！？
ア、アリス…
それに！
そんな熱中しちゃうところも
ローズらしくって大好きだよ！
ああ、アリス…
がしっ！
ろ～お～ずぅ～！
はぐっ！
ということで！
私たち３人からアリスへ、ささやかな時間のプレゼントでした！
余計なお世話、だったかもしれないけどね？
大丈夫…
そんなことはないみたい…
ほらほら！
そろそろパーティー会場に行かない！？
これからが誕生日本番だよ！
ええ、そうね！
バッンバン祝ってあげるから
覚悟しておきなさいよねっ！
れっつ・ぱーりー…
ともあれまずは…
ありがと～★
今日はステキな１日になりそうだねっ！
『みんな』にとってもステキな１日になりますように★
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