もうじき年に1度のハロウィン

街はお祭りの準備で大忙し
みんな楽しそうにハロウィンを心待ちにしています。

でもそんな中「おかしなこと」がおこりはじめます。

季節はずれの雪が降ったり、お祭り用に飾られた街路樹が凍ったり、
街の外れでは激しい吹雪とともに巨大な獣の咆哮が聞こえたり…。

街の人々は不安をつのらせます。
「このままじゃ楽しいハロウィンが出来なくなっちゃう」


そんなある日、ベルガモット校長はアリスとローズを呼び出しました。
「…どうやらイタズラをしてるのはウチの生徒らしいのじゃ。」
校長室に呼ばれた二人は、着いた早々校長先生から事情を聞かされます。

「ええっそうなの??」
アリスは驚き、ローズがタメ息まじりに口を開きます。
「まあ、そんな気はしてたけどね。どれも魔法を使ったイタズラじゃないの…。」


それを聞いた校長先生は、不敵な笑みで話を続けます。
「そうなのじゃよ。そこでだ。 アリスにローズ。お前たちに頼みたい。
イタズラをしている生徒を捕まえてきてくれんかの?」

「わたしたちが?」
更に驚く二人。

「魔法兵団を動かせばいいじゃない」
ローズはちょっと不服そうです。


「それがな。他の人間には頼めん事情があるのじゃよ…。 頼まれてくれんかの?」 
校長は話を続けます。

「ノワール。」

「…はい。」
校長室に入ってきたのは元同級生のノワールです。


「あノワールひさしぶりーっ」
「優等生じゃないの。元気してた?」
久しぶりの再会をよろこぶ二人。
しかしノワールの顔は曇ったまま…。

「詳しい事はこのノワールに聞いてくれるかの?」
「…ええ。」
ノワールは少しずつ事情を話し始めました…。

.....

.......

.........


「というわけじゃ、頼んだぞ。 二人とも。」


「わかったよ校長先生まっかせといて★そうと決まればっさ、さっいこっノワール」
「…失礼します。」
友人が困っているのを放っておけるようなアリスではありません。
迷っているローズの返事を待たずに、
ノワールをつれて校長室を出て行こうとしています。

「…まあ、おじい様がそこまで言うなら頼まれてあげても…ってアリスっ
こらーっ おいて行くんじゃないわよ~っ」
ローズもあわてて追いかけて行きます。


「ふぉっふぉっふぉっ二人とも母親に似てきたな。 …のう。リュミエール君」
校長先生は満足げに目を細めながら、後ろに控えていたリュミエールに声をかけます。

「ええ。 ホントに…。」
リュミエールも懐かしむように目で三人が去ったドアを見つめています。

「今回の事件、裏で糸を引くモノがいそうじゃ…。
それとなく協力してやってくれ。頼んだぞ。」

「承知しました。 それでは。」
カツっと踵を返し部屋を出ていくリュミエール。



「………安心しろ。 おぬしらの子達は立派に育っておるぞ…。」そっとつぶやきながら
校長先生は窓の外に赤く輝く月を静かに見つめていました…。


…こうして今回のお話は始まったのです。